第1451話 神のシステム。
五分の経過で、再度使えるようになったカオスバンプティルーレット。
格下相手に、追加でカオスバンプティルーレットを回すというのは間違いなく恥。
しかし、現状、そんな余裕はこけなかった。
バンプティは理解した。
――カドヒト・イッツガイは、
最果てに至った自分ですら『全力』で立ち向かわなければいけない強者。
一瞬、
『今の自分が全力で立ち向かわなければならないほどの存在など、一人しかいないのでは?』
『まさか、このカドヒトという男は……』
などという『ありえない疑問』が頭に浮かんだが、
『当人が聖典を非難するわけがない』
『偉大なる神が、そんなワケのわからないことをするはずがない』
という極めて常識的な発想が『ありえない疑念』をかき消した。
いや、かき消したというのは表現として間違っている。
『掻き消えてほしい』と強く願っただけにすぎない。
いまだ、バンプティの頭の中では、
ずっと、その『疑念』が暴れている。
だらこそ、叫ぶ。
「貴様の強さには、おそらく、何かカラクリがあるのだろう!」
論理的な解釈を求めようとする。
聖典を信じない者たちと同じ思考。
結局のところは、しかして、病的な合理の追及。
『そんなわけがない』という常識的思考が、
目の前の現実を許さない。
ゼノリカの天上に至っても、
人は、弱さを殺しきれない。
「私のカオスミラーのように、力の差をひっくり返せる『特殊な何か』……おそらくは……相手の存在値をコピーして、戦闘力に変換する……といったような、奇妙な力! 貴様はそれを使っている! そうだろう!」
「まあ、それと似たような魔法やスペシャルも、存在しなくはないが……あいにく、今の俺は、その手の奇術を使っているわけじゃない」
「まあ、当然、そう言うだろうな! 奇術師がタネをあかすわけがない!」
「……平行線だな。まあ、別にいいけど。それより、そろそろ、ルーレットをとめたらどうだ? それを止めてしまったら、俺と戦わなければいけなくなるから、躊躇してしまう気持ちもわからなくはないが、すでにサイは投げられているってことを、いい加減、理解しろ。もう、あとには引けないんだよ」
「貴様ごときに、躊躇などするか!! ナメるなぁああ!!」
怒りのままに、そう叫んでから、
「とまれぇええ!!」
てっぺんの矢印が示したのは、
「カオスラージャン・エグゾギア-システム、起動!!」
極悪な混沌を纏ったエグゾギアをその身に包み込むバンプティ。
それを見て、
少し離れた場所で見学しているスールが、ボソっと、
「機動魔法……それも、かなり高位の……すごいな……さすがは、九華の第十席……やはり、レベルが違う……最初から、そういう力を見せてくれればいいのに、どうして、存在値3000とかいう、アホなハッタリをかましたのか……」
呆れと尊敬が混じった複雑な視線を送っているスールの向こうで、
――カドヒトは、『苦い顔』をしていた。
その理由は『恐怖』からではなく、
(ラージャンタイプのエグゾギア……そのチョイスはどうだろうなぁ……まあ、もちろん、強くはなるが……正直、エグゾギアを使ったビルドはたかが知れているからなぁ……つぅか、神種が芽吹いていない状態でエグゾギアを使ったところで、メモリ不足&コスト不足で、豪快にもてあますだけだと思うんだが……)
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