第1419話 リフレクションという会社。
「カドヒトは、所詮、存在値170程度の『天下案件』……どう考えても、天上が出るほどの相手ではないのじゃが……」
――『仕事』には役割というものがある。
天上には天上の、天下には天下の、『こなすべき仕事』がある。
だから、これまでは天下に任せてきた。
カドヒトの存在は、ゼノリカにとって『腹が立つことこの上なし』だが、
実質的には『アホがアホなことを叫んでいるだけ』なので、
さすがに『天上が出張るほど』ではなかった。
だが、ここまで我慢したのだから、
さすがにそろそろ『特例扱い』してもかまわない時期かもしれない。
――そう思ったパメラノは、
「……どうせやるなら手加減はするな。徹底的に説教してこい、バンプティ」
「かしこまりました」
★
パメラノとの対話を終えたスールは、
その足でリフレクションの本部へと向かった。
反聖典組織リフレクションは、
地下組織というわけではなく、
普通に、表だって行動している。
まず、リフレクションは『聖典に文句を言うだけ』の『いやがらせ組織』ではない。
『カドヒトお手製のセキュリティツールのレンタル業』や、
『一般人向けのボディーガード業』や、
『ハードボイルド系の探偵業』や、
『裏社会を対象とした管財人的な仕事』や、
『それらの業務の経験談をまとめた雑誌の販売業』など、
いわゆる『グレーゾーンな社会』を相手とした、
『トラブルシューター』的な事業を行っているという、
ちょっとした規模の会社。
※ ウエス〇ゲートパーク的なアレを想像してもらえれば、
リフレクションの仕事は理解しやすい。
『災害時におけるボランティア』や『孤児院の運営』などの慈善事業もそれなりに行っていて、税金もしっかりと納めている。
※ 慈善事業は『ある程度稼いでいる会社』であれば『絶対に背負わなければいけない義務』なので、それなりにやっているからといって、特別褒められることでもない。
リフレクションは、聖典に異を唱えているという基本スタイルをシカトすれば、
かなりまっとうなホワイト会社。
ゼノリカが処理しきれていない『社会の闇』から、
善良な一般市民を守る『盾』の役割。
ゆえに、本部のビルには看板もかかっているし、
その看板には電話番号だってキッチリと記載されている。
『聖典教とは関係ない一般人』の視点で言うと、リフレクションは、
『ゼノリカとは別枠』の『便利な万事屋さん』的な会社である。
――『パメラノから解放されたスール』が、
その足で、リフレクションの本部に戻ると、
奥の客間にはカドヒトがいて、
来客用のソファーに寝転んでいた。
カドヒトは、スールの姿を横目にとらえると、
ニっと笑って、
「おつかれ。奇襲は成功したか?」
「奇襲って……変な言い方しないでくださいよ。俺は、パメラノ猊下に意見をぶつけにいっただけです。ちなみに、試みは大成功でしたよ。直接対話することもできましたし」
「へぇ……パメラノと対話できたのか……よかったじゃねぇか。なかなかできることじゃない、貴重な体験だ」
「……まあ、実際、そうですね……」
スールはカドヒトのトイメンに腰を落として、
「……『世界のこれからについて』を語り合った……とかなら、宝物にできる時間だったのでしょうけど、聖典の在り方について、俺が一方的に文句を言っただけみたいな形だったので、有意義な時間とは言えませんでしたね」
「有意義かどうかはともかく、お前の行動は非常に正しいと言える。お前みたいなやつがどんどん増えていくべきだ。聖典なんて、なくていい。いや、あってもいいが、センエースがどうこうって部分は全削除していくべきだ」
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