第1084話 整えていく、P型センキー・ゼロオーダー。
「お前は、しょせん、『影』と『妄想』の雑種。最強を名乗る価値はない」
そう言い捨ててから、
ゴートは、P型センキー・ゼロオーダーの背後を取り、
右腕を切り落とそうと、手刀を振り下ろした――
と、ぴったり同じタイミングで、
P型センキー・ゼロオーダーが、シュンッと姿を消した。
P型センエース3号だった時とはくらべものにならない俊敏性と反応速度。
逆に、ゴートの背後へと回ったP型センキー・ゼロオーダーは、
右手に魔力を集中させて、
ゴートの首を取ろうと『踏み込んだ一手』を放とうとした――
――けれど、
「存在値10兆前後ってところか……いきなり、一兆倍も強くなるとは恐れいったけど、まさか、その程度で俺に勝てるとは思っていないよな?」
特に焦った様子もなく、
ゴートは、穏やかな態度で、
パチンッ、と指で、澄んだ音を鳴らした。
すると、P型センキー・ゼロオーダーの右腕がズガンと爆発した。
「っ?!」
前触れもなく、急に腕をなくしてしまったP型センキー・ゼロオーダー。
彼の困惑している顔をチラ見してから、
「そんなに驚くほどのことじゃない。お前が『まだP型センエース3号だった時』に『仕掛けていた』ってだけのこと。他にもいくつか仕掛けてはいるぞ。お前が『今』みたいな『超変身』をする可能性を危惧していたから」
「……」
「想定通りに、ちょこっと強くなってくれて、むしろホっとしている。これなら、ただの『闘い』だ。余計なことを考えずに、ただただ純粋に、数値で圧倒させてもらう。今のお前が相手なら、多少無茶をしても、そう簡単に『殺してしまう』ってこともないだろう」
ニっと笑いながら、
より魔力とオーラを高めていき、
「確か、決闘がお望みなんだよな。やってやるよ。俺の高みを見せてやる。最初にちゃんと言っておくが、俺は……強いぞ。おそらく、世界で一番。なんせ、本物のセンエースになる男だからな」
そう言ってから、ゴートは踏み込んだ。
より速く、より強く、
「ぐっ!」
P型センキー・ゼロオーダーは、昂っているゴートの猛攻を前に、ただただ防戦一方で、
「まだ、とっておきがあるか? あるなら、さっさと出せよ。今のお前じゃあ、俺の相手にはならないぞ」
ゴートの煽りを受けて、
P型センキー・ゼロオーダーは、ギリっと奥歯をかみしめてから、
「うぉおおおおおお!!」
全身のオーラをフル稼働させ、
バチバチと全身に黒い電流を走らせながら、
「――アドミラ・ソウ・シュプレヒコール――」
そう呟いてから、
「――ヒーロー見参っっ!!」
大声で、そう叫ぶと、
『P型センキー・ゼロオーダーに内包されているオーラの総量』が、
ケタ違いに、ドグワァァッッと、爆発的に上昇した。
無敵のコールによる、強制覚醒。
P型センキー・ゼロオーダーが整っていく。
さらに、P型センキー・ゼロオーダーは、その爆発的なオーラを、
驚異的な集中力で、
「――はっ、はっ、はっ、はっ、はっ」
グングンと練り上げていく。
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