第1083話 俺はP型センエース3号でも、ソンキー・シャドー(マニアクス)でもない。
「俺は、俺は、俺は、俺は、俺は――」
交感神経バキバキの散瞳しっぱなしなラリった目で、ここではないどこかを見つめながら、ブツブツと、中身のない言葉を並べ続けるP型センエース3号。
そんなP型センエース3号を見て、
ゴートは、天を仰ぎ、
「あーあ、壊れちゃった……最初から壊れていたようなモノだったけど、ついには本格的に壊れちゃったよ……」
また深いタメ息をつきながら、頭を抱えて、
「最悪だよ、マジで……『壊れきったキ〇ガイ』を相手に『敗北を認めさせろ』って、普通にガチガチのムリゲーじゃねぇか……ムリゲーっていうか、クソゲーだよ、こんなもん……マジでどうしろってんだ……」
ゴートが頭を抱えて嘆いていると、
ふいに、
「……俺はP型センエース3号じゃない……」
スっと、落ち着きのある声で、
そんなことを言い出した。
そんなP型センエース3号に、
ゴートは、何度目かわからないタメ息をつきながら、
「あ、そう……じゃあ、誰? G型センエース6号か? X型センエース7号か? あるいは、そもそもセンエースじゃなくて、P型タナカトウシ3号とか? なんでもいいけど、いい加減、そろそろ、問題を解決するための建設的な――」
「ソンキー・シャドー(マニアクス)でもない」
「っ……ソンキー……?」
『会話になっていない』という点は、もはや諦めた、
――というわけでもないが、しかし、
『知っている名前』が出てきたことで、ゴートの耳がピクっと動いた。
ゴートが召喚できる中でも特に際立って最強の存在『ソンキー・シャドー』。
ただのシャドーでありながら、とんでもない力を持つ謎の闘神。
「俺はP型センエース3号でも、ソンキー・シャドー(マニアクス)でもない。俺は……貴様を倒す者だ……」
そうつぶやくと、
P型センエース3号は、
右手の手のひらを自分の心臓に向けて、
「――スピリット・ファンクション、強制執行!!」
宣言すると、
その瞬間、
P型センエース3号の姿がカっと光った。
強く、荘厳な光。
禁忌の輝き。
掟破りの切り札。
光が収束した時、
そこには、
先ほどまではくらべものにならない、
厳格なオーラを放つ青年が立っていた。
「俺は……『P型センキー・ゼロオーダー』……絶対最強無敵の神」
名乗りを受けて、
ゴートは、
「……まあ、確かに……」
心を整えるように、
ゆっくりとしたテンポで、
「……『シャドー』でも『偶像』でもない『本物』のソンキーとセンエース……そんなヤベェ二柱が合体したら、そりゃ、絶対に無敵で最強だろうぜ」
そう言ってから、
グンと、気合を入れて、全身に魔力とオーラを供給させ、
「しかし、お前は、しょせん、『影』と『妄想』の雑種。最強を名乗る価値はない」
そう言い捨ててから、
ゴートは、P型センキー・ゼロオーダーの背後を取り、
右腕を切り落とそうと、手刀を振り下ろした――
と、ぴったり同じタイミングで、
P型センキー・ゼロオーダーが、シュンッと姿を消した。
P型センエース3号だった時とはくらべものにならない俊敏性と反応速度。
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