第1078話 ショデヒ、国のことは、だいたい全部任せたぞ。俺は女に会いにいく。
(限界なく『リーンの理想』を実現させたいという、終着点のないワガママな欲求――ある意味でリーンは俺を縛る鎖。できることが増えすぎて、立ち往生してしまっているのが現状)
ゴートは、急速に大きくなりすぎた。
まだ、ゴートは、自分を測り切れていない。
だからこそ、現状だと、いったん、些事に関しては、他人に決断を任せている――そんな状況的矛盾。
ゴート(センエース)は、逃げることを嫌う根性の塊だが、
『やることが大量にある時、苦手なことを後回しにするか否か』は、まったく別の問題。
一言で言おう。
ゴートは、もっとリーンに愛されたいのだ。
すでに、これ以上ないほど互いの想いは繋がっているのに、
まるで中毒者みたいに『もっと』を求めてしまう。
ショデヒに大きな権限を与えている最大の理由は、
自分の負担を最大限にまで減らしたいから。
はっきり言おう。
今のゴートは、少々厄介な状態に陥っていた。
今のゴートにとって、優先順位は、
『リーン』≫≫≫≫≫超えられない壁≫≫≫≫≫『世界征服』となっている。
許されるのなら、
日がな一日、リーンと時間を共にしたいと願っている。
それぐらい、今のゴートは、厄介な病(やまい)におかされている。
(あと数分で『今後のラムドカード運用に関する戦略会議』がはじまる……)
本日のスケジュールを頭の中で思い浮かべたゴートは、
数秒だけ悩んだが、
(……別に俺がいなくても問題はないな。うん)
第一アルファ視点でいうところの、ガ〇ダムの運用会議なので、
当然『とびっきり重要』なのだが、しかし、
現状の、厄介な状態に陥っているゴートの視点ではどうでもいいこと。
(ショデヒがいれば、大丈夫だ。というわけで、あとのコトはすべてショデヒに丸投げしよう。あいつは腹黒いが、実際、めちゃくちゃ優秀だ。これで、明日の昼まで、リーンと一緒にいられる)
あっさりと、仕事放棄の決断を下すと、
ゴートは、サクっと通信の魔法で、ショデヒに、本日の会議における全権を委任した。
当然、ショデヒは、狂喜乱舞し、
心の中で、
(くく! ははは! まさか、私にラムドカード運用の全権を託すとは! そこまでアホだと思っていなかった。くく……いや、それだけ信頼されているということか。さすが、私。演技力も尋常ではない高みにある。やはり、私こそが世界の王にふさわしい)
などと考えていて、
そして、そう考えているであろうことも、ゴートは理解しているが、
――しかし、どうでもよかった。
そんなことより、今はリーンに会いたい。
それ以外はどうでもいい。
というわけで、
ゴートは、そのまま、リーンの執務室の前まで瞬間移動。
※ ちなみに、現在、UV1は、招集があって、ゼノリカに帰還中。
理由は次章!
ここで、少し予告!
次章もだいぶ怒涛!
どうやら、センを含むゼノリカ総出で、超難度のミッションに挑む模様!
――リーンの執務室前まできたゴートは、少しだけ身なりを整えてから、
親しき中にも必須の礼儀として、コンコンと軽いノックをする。
数秒待ったが、
(……ん?)
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