第1041話 センエースエンジンを持つ者同士の闘い。
センエースは強かった。
本気の究極超神化7――その出力はハンパじゃなく、
また、磨き上げてきたセンエースの戦闘力も、尊き輝きの結晶であり、
どこまでも、いつまでも、果てなく、飛び抜けて美しかった。
――そんなセンエースを、
「無駄だよ、センエース。『お前自身』は心底惚れ惚れするほど強い……が、お前の携帯ドラゴンは弱過ぎる」
P型センキーは、圧倒していた。
両者の間には、ハッキリとした差があった。
(……ぐっ……戦闘力では俺の方がわずかに上。出力の条件が同じなら、確定で俺が勝つ……だが、補正に差がありすぎる現状では……)
P型センキーは強すぎた。
あまりにも……強すぎた。
「お前の携帯ドラゴンが弱い……というより、俺の携帯ドラゴンが強すぎるんだな……末期インフレの☆Xを積んだ携帯ドラゴンと、リリース初期の最強ビルドしか組めないお前の携帯ドラゴンでは、当然だが、格差がありすぎる」
MDワールドの管理者であるセンエースは、
ある程度、自由に、自分の携帯ドラゴンをカスタマイズできる立場にあるが、
しかし、『今、出来る事』には限界があった。
異常に複雑で、かつ極めて異質なシステムによって構成されているMDワールドの全てを、短時間で完全解析することは不可能。
結果、センの携帯ドラゴンは、『リリース初期の最強ビルド』に落ちついてしまった。
ハッキリ言って、勝てる訳がなかった。
本来、『携帯ドラゴンの性能差で勝負の全てが決まる事』などほぼないが、
この二人の間には、あまりにも、大きな格差が在り過ぎた。
P型センキーは、劣化版とはいえ、ソンキーの戦闘力を持っている。
つまり、携帯ドラゴンの性能差以外の部分では、差がほとんどない。
素の実力は、本当に、バチバチ拮抗している状態。
なのに、能力補正の恩恵を与えてくれる携帯ドラゴンには圧倒的な差があるので、
そりゃあ、普通に考えたら、センエースに勝ち目などあるわけがなかった。
「センエース、お前は強い。ただ強いだけではなく、絶望を前にした時の胆力が凄まじい。だからこそ、どんな絶望も、お前の前では絶望した。お前は間違いなく、世界が望んだ理想のヒーロー。それは事実。しかし、その特異性は、お前だけの特権じゃない。この俺だって保有している」
センエースは常に、自分よりも強い敵を倒してきた。
センエースより強い程度の雑魚に、センエースは負けない。
――ようするに、センエースは、誰にも負けない。
しかし、相手もそのイカれた特異性をもっていたら?
『絶対に誰にも負けない者』同士の闘い。
文章の上では明確な矛盾。
しかし、現実の下では、矛盾で終わらない。
センエースエンジンを積んだ者同士の闘いでは、
純粋に、より強い方が勝つ。
当たり前の話。
「――さあ、あらためて、心に刻め。俺は、P型センキー。お前の精神力と、ソンキーの天才性を併せ持つ、最強の神!! その上で! 狂気の性能を誇る、ブッチギリ最強の携帯ドラゴンを所有した、完全なる王!!」
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