第1039話 ヒーロー見参! ヒーロー見参! ノーカン! ノーカン!
「ピンチだっつってんだろ……さっさと輝け……センエース!!」
「ん? なんだ? 俺に言ってたのか?」
「なわけ……ねぇだろぉが、ぼげぇ……」
巻き舌でそう言いながら、
P型センキーは、
「こいよぉお! もう、マジで次は耐えられない! だから! はやく!」
自分の心臓を殴りつけながら、
「ヒーロー見参! ヒーロー見参! ヒーロー見参!! 聞いてんのか、こらぁ! これ言えばオールOKなんだろ! さっさと開け、ヒーロー見参!」
などと喚いているP型センキーを、
センエースは、酷く白い目で見ながら、
「……なんつぅか、不愉快きわまりねぇなぁ」
マジで普通にイラっとした顔でそう言ってから、
両手に、膨大化させたエネルギーの塊を集中させて、
「顕現……【エギルディザスター・フルパレードゼタキャノン】……」
宣言と同時、金属が高速回転しているような音が響いた。
その直後――
ガチャガチャガチャッッ!!
両手に一丁ずつ、巨大な銃が現れた。
脈打つ、メタリックな銃身。
センエースの体躯の三倍はある大口径の超強大な魔双銃。
その凶悪な二つの銃口を、
迷わず、P型センキーに向ける。
「そのズタボロのオーバーヒート状態じゃあ、ゼタは回避できねぇ。完璧なチェックメイト。絶対に耐えきれない火力で圧殺してやる……3……2……」
「ひ、ひひ、開けぇえ! 開いてくれぇえ! こ、この状態で、エギ積みのゼタは無理だ! 100パー耐えられない!」
『災厄』は『残り体力が少ない者』に対してより大きな倍率がかかる属性。
『拮抗した神々の闘い』は、凶悪に大量なHPをチマチマと削り合う超長期泥沼戦になるケースがほとんどなので、終盤の『寄せ』では必須となる属性。
「オメガバスティオンも、『通常の精神状態』じゃ、1000パー失敗する! ようするに死ぬ! だから、頼む、開いてくれ! こんな、何もできない状態で死んだら! 意味が――」
「1……」
――砲身が輝きだす。
悲鳴のような駆動音。
エネルギーが一点に収束していく。
そして、ついには、極限まで高められた『暴力』が解放される。
「0……食らい尽くせ」
主の命令に従い、
エギルディザスター・フルパレードゼタキャノンは、
狂ったように唸り、
――勢いよく咆哮。
豪速のエネルギー弾が、
一切の容赦なく、P型センキーを襲う。
極太の照射。
大気が鳴動する。
空間が歪んで、バチバチと黒い電磁放射が舞う。
その絶対的な絶望が、
P型センキーをさらっていこうとした、
その直前で、
――また、あの圧縮が起こった。
「きっ! きたきたぁ! おせぇんだよ、くそったれ!」
圧縮された時間の中で、
P型センキーは、
「ここまでギリギリにならないと、その気にならないとは……はっ、本当に、ワガママで厄介で鬱陶しいエンジンだぜ! だが! 最高だ!」
そう叫び、
そして、
「さあ、届け! 最果ての世界! 俺の全部で! あそこへ!!」
魂に喝を入れて、
心を沸騰させて、
だから!
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〈* *〉
[*****]
[* * * * * * *」
「――/\**【【究極超神化7】】**/\――」
[* * * * * * *]
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〈* *〉
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静寂の中、尊い輝きに包まれているP型センキー。
背負っているのは、アストラル神字が浮かぶ後光輪。
黒銀の結晶がちりばめられた、絶烈な究極超神気。
荘厳な煌めきを圧縮させたような、どこまでも静かなオーラ。
限界をブチ切って、
いと美しく、咲き誇るP型センキー。
その尊き耀きを原動力として、
P型センキーは、厳かに、
「マキシマイズ・ドリームオーラ・グロリアス」
超性能のバリアを張り巡らせて、
エギルディザスター・フルパレードゼタキャノンの咆哮をかき消した。
その一連を目の当たりにしたセンエースは、
ボソっと、
「……ちっ……本当に究極超神化7を使ってきやがった……気分わるぅ」
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