第1038話 じゃあな、元パチモン2号。
「俺の携帯ドラゴンには、コピーによる劣化を補ってあまりある底力がある。てめぇが俺より弱いって結果は何も変わらねぇ!」
「……まあ、そうだな。……うん、どうやら、確かに、『真・究極超神化6同士の闘い』では、お前が勝ちそうだ」
認めると、
センエースは、
「ま、じゃあ、こうするだけだが」
そう言ってから、
スゥっと息を吸い、
「……究極超神化7……」
簡易で究極超神化7を発動させる。
フワリと煌めいてまたたく。
オーラの輝きは、本気を出した時ほどではないが、
別格の光を放っていて、魂すべてで平伏したくなるほど神々しい。
「さて……それじゃあ、とっとと終わらせようか。ここからは害虫駆除の時間だ」
「……おいおい、なに、あっさりと究極超神化7を使ってんだ。ここは、いつもの屁理屈をこねて、真・究極超神化6でつっぱるところだろう。そうじゃないと、アレだぞ。お前、本質的には俺より弱いって事になるんだぞ。いいのか、それで」
「どうでもいい。お前ごときが、俺より強いか弱いかなんか、心底、興味ない」
「……」
「ハンパなパチモンチーターと本気で競い合うほど、俺はイカれているワケでも、ヒマなわけでもない」
センエースは、たんたんと、しかし、芯のある言葉で、
「まあ、あと……何がどうとは言えないが、お前からは、『危険』な『色』を感じる。放っておいたら、世界が終わりかねない、歪んだ可能性。『ナメプは危険だ』と、俺の魂魄が、やかましく叫んでいる。理解不能。自分で自分がわからねぇ。どうして、お前ごときに、ここまで危機感を抱いているのかまるで不明……けど、俺の疑問なんかどうでもいい。大事なことは一つだけ。俺は命の王。だから、俺は、お前を、ここで、確実に殺す」
果て無き威圧感。
膨れ上がっていく、命の王が放つ、豪の胆。
それを受けて、
P型センキーは、
一度、面倒くさそうに舌打ちをしてから、
(……はっ……まあいいけどな……下地は出来ているんだ……ピンチになって、センエースエンジンさえ発動すれば、こっちのもの)
心の中で皮算用をしているP型センキー。
そんな彼を見下しながら、
センエースは、
「行くぞ、元パチモン2号。辞世の句を並べるヒマを与える気はないから、何か言い残したい事があるなら、脳内で勝手につぶやいてろ」
そう言って、P型センキーに殴りかかった。
原始的な、鉄拳制裁。
オーラを込めて、物理で殴る。
「どぅぉおおおおおお!!」
顔面にガツンと重たいのをもらって、P型センキーは吹っ飛んだ。
もちろん、吹っ飛んで終わりではない。
吹っ飛んだ先に、センエースが待っていて、
「ぶふぇええええええ!!」
背中に膝を叩きこまれた。
背骨がバキバキにヘシ折れて、
いたる箇所の皮と肉が裂けた。
「これで終わりだ。……じゃあな、元パチ2。異次元砲ぉ!!」
拳と膝で適度に削った流れ――その勢いに乗って、
両手をP型センエース2号の体に向けて、躊躇なく、異次元砲を放った。
「ぎぁあああああああああ!!」
全ての絶望をさらっていく、英雄の咆哮。
それを直で受けたP型センキーには、当然、大ダメージが入った。
――しかし、
「うぼぇえ……がはっ……」
「……はぁ? なんで、今のくらって生きてんだよ……うっざ……」
P型センキーは死ななかった。
ダメージを受けなかったわけではなく、
ただ、純粋に、死には至らなかっただけ。
「ぜぇ……はぁ……ぜぇ……」
センエースの異次元砲を耐えきったP型センキーは、
自分自身に対して、
「ほら……ピンチだぞ……」
言葉を投げかける。
激痛にたえながら、強い歯ぎしりを交えつつ、
「ピンチだっつってんだろ……死ぬぞ、このままだと……次の異次元砲は、もう耐えられねぇ……わかってんだろ……わかってんなら……さっさと輝け……センエース!!」
「ん? なんだ? 『ヤベェ独り言』かと思ったが……俺に言ってたのか?」
「なわけ……ねぇだろぉが、ぼげぇ……」
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