第1031話 オーバードライブ・サイコジョーカー。
「ったく、あのクソカス野郎は……いつもだ……いつも、俺の遥か先をいきやがる……いつも、俺が必死になって積み上げてきたものをゴミにしやがる……ほんと、もう……死ねばいいのに……」
ゆがんだ本音をこぼすゼッキに、
P型センエース2号は、つらつらと饒舌に、
「タナカトウシという例外の事は忘れて、強くなった自分を誇るといい。もし、ここにタナカトウシがいたら、お前は一秒以内に1億回ほど殺されているだろうが、そんな事は気にするな。お前は強い。残念ながらタナカトウシや俺と比べればカスだが、そこらのカスと比べたら、お前は決して弱くない。お前がどれだけ頑張っても勝てない俺を、タナカトウシなら余裕で殺せるというのが、この優しい世界の事実であり現実であり真理だが、けれど、そんな事は忘れて、自分の強さを誇るといい。お前ほど強いやつはなかなかいないんだ。タナカトウシの視点で言えば、お前など、そこらのゴキブリと大差ないカスだが、そんな事は絶対に気にしちゃいけない」
「……最後の質問だ」
「ん? なんだ?」
「あんたとあいつ……どのぐらい差がある?」
「100点と80点くらいの差……かな。あくまでもおおよその値だが」
「なるほど……じゃあ、つまり、あんたを殺す事ができたら、俺とあのキ〇ガイの差は20点以内におさまるってことだな?」
「俺を殺す事が出来たなら、まあ、その通りだな。しかし、不可能。どれだけ頑張っても、お前では、俺には――」
最後まで言葉を聞く事なく、
ゼッキは、天を仰ぎ、
肺が破れるほど息を吸って、
「オーバードライブッッ!! サイコッッ!! ジョォオカァアアアアアア!!!」
叫びの直後、
ゼッキの全身が、それまでとは異質のオーラに包まれる。
エグゾギアの全駆動領域が、ギュンギュンと音を立てて、
胸の中心部にあるコアが、太陽のような強い光を放つ。
――『オーバードライブ・サイコジョーカー』。
それは、『究極超神センエースによっておさえられているフッキの潜在能力』を部分的に解放する力(もし、この先、フッキの制限が解除された場合、自動的にコードが書き換えられ、純粋なサイコジョーカーの上位互換となる)。
精神的負荷を180分の一に分散する事でしか発動できない狂気の可能性。
「ぐぅぎぎぎぎぎぎいぃいいいい!!」
サイコジョーカーをはるかに超える精神圧迫。
驚異的な精神力を持つゼッキが、180に分散させたとしても、
10数秒しか持たせられない、怒涛のSAN値喰い。
凄まじい存在値となったゼッキを見て、
P型センエース2号は、
(存在値、およそ『2兆』……センエースによって抑え込まれているセイバーフッキ・ミラージュの潜在能力を無理やりに引き出すシステムか……凄まじいな……)
獣のように唸りながら、凄まじい速度で襲いかかってきたゼッキの攻撃を回避しながら、
(まあ、とはいえ、もちろん、俺の相手じゃないが……)
最短のステップで、闘牛士のように、ゼッキの『暴れ』をあざわらう。
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