第1019話 究極超最終形態ネオグレートバグ・ソウルレリーフ。


「ここだろ! ど真ん中のタイミングだ! さあ、P型センエース2号さんよ……とくと魅せてくれ! 俺に、心底『全力を出さないとヤベェ』と思わせてくれ! あるんだろ? とっておき! 今のあんたがカスに思える、最強のスーパーモード!」


「……ガキが……」


 心底ダルそうにそうつぶやいてから、


「……最終的には、『前借り』を『使う』しかないだろうな……これで、また理論上の最大値から遠のく……まったく……てんで思い通りにいきゃしねぇ……」


 ボソっとそう言ってから、

 フゥと息を吐き、



「――[コマンドリンク]《究極超最終形態ネオグレートバグ・ソウルレリーフ》――」



 そう宣言すると、

 P型センエース2号のコアに変革が起こった。

 黒い波動を放ち、

 時折、バチバチと電流が放出される。


 それを見て、

 阿修羅ゼンは、ドキドキしながら、


「おぉ……膨れ上がっていくねぇ……すげぇ、すげぇ……想像通りの、とんでもない存在値だ。やっぱり、あんたは、ハンパなく大きかった」


「まるで『頑丈なオモチャ』でも眺めているような目だな……不快きわまる」


 P型センエース2号の不快感を、

 阿修羅ゼンは、全力でシカトして、

 ワクワク顔のまま、


「なあ、P型センエース2号先輩。ちょっとだけ、今の状態で試させてもらうけど……殺さないでくださいね」


 などと、ナメたことをほざく。


「……完全にオモチャ扱いだな」


 P型センエース2号の了承など待たず、

 阿修羅ゼンは、今の状態で出せる全力でもって、

 P型センエース2号に殴りかかった。


 攻撃力100億オーバーという、凶悪な出力の暴力だが、

 しかし、


「……ははっ……まあ、こうなるわな……余裕で想定の範囲内だ」


 阿修羅ゼンは、こめかみに軽く冷や汗を浮かばせながら、ボソっとそう言った。

 今の阿修羅ゼンに出せる最大出力を受けて、

 しかし、P型センエース2号は、ビクともしなかったから。


 阿修羅ゼンは、追加で、もう2・3発、拳を叩きこんで、

 かつ、


「波動一閃!!」


 剣を薙いでみたりもしたが、

 P型センエース2号には、キズ一つつける事も叶わなかった。


「すっげ、すっげ……超硬ぇ。ハンパなく高純度のオーラ……あんたの圧力は、フッキ以上。確実に、今まで俺が出会ってきた『敵』の中で、ぶっちぎり、ナンバーワンの『高み』に達している」


「……人生経験の少ないガキに言われても、特に誇らしいとは思わないな」


 P型センエース2号の軽口をシカトして、

 阿修羅ゼンは、


「楽しみだよ……自分がどのくらい強くなったのか……ようやく試せる……」


 おごそかに、心を統一させる。

 ゆったりと、深く、どこまでも、

 自分の中へと潜って、潜って、潜って、

 奥で眠っている『可能性』を引っ張り上げる。



「ついに、お前の出番だぞ、フッキ。俺たちの道を阻(はば)む壁を……さあ、共に砕こう」



 その支援要請に、

 ゼンの中のフッキが応える。


 ――キィイイイン!!


 と、魂魄が急速に高まっていく。

 異常な速度の上昇。

 その勢いは、留まる事を知らず、

 ゼンという個を、高く、高く、押し上げていく。


 ゼンが、下腹部に力を込めて、

 喉を枯らす勢いで、

 叫ぶ!!




「閃(せん)・聖(せい)・融(ゆう)・儀(ぎ)!!」



 宣誓の直後、

 ゼンの背中に、陰陽をゆがませたジオメトリが浮かぶ巨大な龍翼が顕現!!


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