第994話 バグVSソンキー。
「見えた!! 届く! この上なく美しき神ソンキー・ウルギ・アース! 私は、貴様を超えていける! 見ろ! これが私という個の極地! 世界を喰らい尽す、因果の最果て!! 全ての絶望を絶望させる、閃陰の終着点! アンリミテッド・トランスフォーム・モード【舞い散る閃光】!!」
その黒き光は、
『彷徨う冒涜』との闘いの中で、
ついに、種の限界という壁を超えて、
無限の高みへと辿り着く。
これまでの全てが、
バグの中で繋がっていく。
『この上なく尊い神』と繰り広げた激闘、
その積み重ねは、輝く神を昇華させただけではなく、
バグという奇怪な闇を色濃く染めた。
そして、その上に積まれた、『極限チートな運命』という膨大極まりない魂魄。
全てが絡み合って、
結合して、
満たされて、
天高く、昇華されて、
だから、ついに、真に、
バグは、本当の、本当の、本当に、
――完成した。
「全ての闇が、今、ここに結集した。私は、正しい無となって、世界を終わらせる。最果ての闘神よ。貴様はその糧――世界が私に捧げた供物」
「誤想もそこまでいくと、大したものだと本気で笑える」
ソンキーは、魂の芯にオーラを集めながら、
「あのド変態のビルドをトレースしたから最強ですってか? 思考停止にもほどがある。マジで大丈夫か? 夏休み満喫中の中学二年生でも、もう少し頭を使って生きているぞ」
「私という完成した概念を前にして、現実逃避したくなる気持ちはよくわかる。けれど、虚勢で世界は動かない。私という完成した個の前では、貴様はただの生贄にすぎな――」
「――真・究極超神化6――」
バグの言葉を最後まで聞かず、
ソンキーは、
深く、遠く、辿り着いた世界にダイブして、
「お前に対して言いたいことは、すでに、先走ったお前が残らず並べてしまった。同じ言葉を揃えるのも芸がない……というわけで、」
高き武を構えて、
「結果で示してやるよ。本当の最果てを魅せてやる」
ジュっと、何かが蒸発した。
とらえきれない神気の濁流。
停滞したかと思ったら、
次の瞬間には弾けて散った。
ソンキーの輝きを包み込んで、
バグの挙動が滑らかになる。
「高き闘神よ……貴様は強い……しかし、まだ完成していない」
「自覚しているさ。ここはまだ上り坂の途中。完成なんて言葉を、俺は死んでも使わない。俺は永遠に未完成でいい。だからこそ辿りつける世界に――俺は行く」
炸裂が連鎖する。
上品な爆発が終わらない。
理解できないパズル。
積み重なって、絡み合って、
気付けば、消失していて、
また、違う形が産まれて、
倫理が変化して、
道徳が壊滅して、
新しいルールが完成して、
古いルールがねじ伏せられて、
そして、また、
次の世界でルールがルールを殴り殺す。
「――ぐふっ」
踏み込まれて、
重たい一撃をくらったソンキーは、吐血しながら、
「ウゼぇなぁ……見えているが、反応しきれない速度……つまりは、俺の一歩上……」
「正しい理解力は尊い」
「上から言葉を降らすなよ。払いのけるのがダルいんだ」
「答えは出た。貴様は私に勝てない……世界は終わった。全てを受け入れろ」
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