第757話 『究極超神センエース』VS『勇者ハルス・レイアード・セファイルメトス』
互先で、先行後攻は、振りゴマで決める。
先手は177番((舞い散る閃光))。
後手はハルス。
冒険者試験二次試験、
初イベントの決勝戦スタート。
ハルス(この野郎、迷いなく進めてくるな……ほぼノータイムじゃねぇか……)
合わせるわけではないが、ハルスもほぼノータイムで打ち進めていく。
序盤は、どちらも、ポンポンとリズムよく駒を進めていった。
互いに定石通りの、よどみのない型におさまっている。
そんな、型通りの数手を終えただけでも、
ハルス(……別格だな……)
ハルスは理解した。
ハルス(他のカスどもとは、次元が違う……おそらく、こいつは……)
そこで、ハルスは、スっと視線をあげて、センの目を見ながら、
「お前、フーマーの東方出身だな」
そう声をかけると、177番((神界の深層を統べる暴君))は、顔をあげ、
ハルスと目線をあわせ、マユをひそめたキョトン顔で、
「いや、違うけど。……なんで、そう思ったの?」
「……」
177番の態度をうけて、ハルスはいぶかしげな顔をする。
(嘘かホントか分かんねぇな……まあ、どっちでもいい……そんな事は問題じゃない)
ゴホンと、空気をかえるように、セキを一つはさんでから、
ハルスは、
「……まあいい。出身なんざ、どうでも……そんなことより、お前、そこそこ強いな。ウチのボンクラどもとは格が違う」
「ああ、うん。まあね。知り合いの姉ちゃんからは、よく、『お前なんかゴミだ、無能だ、名前を見るだけでも虫酸が走る』って言われるけど、俺って、実は、結構、なんでも、そつなくこなせるんだよね。まあ、時間をかけないと、なかなか『そこそこ以上』は出来るようにならないんだけどねぇ……そこが悩みでもあり、けど、逆に強みでもあるって気もしないでもない……ほら、最初からなんでもできちゃうと、努力しないかもしれないじゃん? まあ、実際のところ、わかんないけどね。才能があろうがなかろうが、俺なら、結局のところ、努力をしている気もするし……ただ、もし、俺が天才だったら、今ほど努力してなかったかもなぁ、っていう想いもあるわけで、うーん……となると、今がベストなのかなぁって思うこともなくはないんだけど、ただ、やっぱり、天才として産まれてきたかったっていう気もなくはないわけで――」
などと、177番は、脅威のマシンガントークをかましてきた。
その間も、もちろん手は進んでいる。
喋りながらも、177番の手に大きなミス等は見受けられない。
(……クソうるせぇ野郎だ……クソつまんねぇクソどうでもいいことを、クソダラダラと……ああ、話しかけるんじゃなかった……)
その後も、勝負は、一進一退で進んだ。
有利・不利の見分けがつきにくい、複雑な盤面になっていく。
盤面が進んでいくにつれ、ハルスは、
強大な迷路にはまっているような気分になっていった。
――ハルスは、
(強い……深い……重い……こいつは……いったい……)
ギリギリと奥歯をかみしめる。
敗北の可能性が見えてきて、心が焦りだした。
そんなハルスに、177番は、
「君、おっそろしく強いねぇ……驚いたよ」
などと言ってきた。
その『モノ言い』に『ガチでイラっとしたハルス』は、
177番を睨みつけて、
「俺に対して……上からモノ言ってんじゃねぇ」
「あれ? 上にいるのに、上からものを言っちゃダメだった? じゃあ、どこから言えばいいんだろう。もしかして、わざわざ下におりていって言わなくちゃいけないのかな? ずいぶんとめんどうくさいことを要求してくる子だねぇ」
「……こ、このクソがぁ……」
怒りで、頭に血がのぼる。
(負けたくねぇ……こんな野郎に……こんなふざけた野郎に……)
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