第627話 限界を超えた融合。


「それではインフェルノモードで訓練を開始する」


 その言葉を合図に、二人の間で火花が舞った。

 『EXレベル6000万』VS『EXレベル6000万』の闘い。

 『現世の闘い』が全て子供のお遊びに思える、もはや、何が行われているか理解することさえ出来ない、激烈すぎる戦闘。

 この両者の前では、現世最強の勇者もそれに次ぐ実力者のリーンも虫ケラと変わらない。



「オーラドール・アバターラ!!」



 ゴートも、他のセンエースに負けず劣らず『数にモノを言わせる戦法』が大好きのようで、テプガチャでアバターラをあててからというもの、本気の戦闘では、常にアバターラを投入している(敵の戦闘力が高次元になってくると、訓練が不十分なアバターラは使い物にならないが、戦闘力が微妙な者同士の戦闘だと、アバターラはかなり有効な技)。


 20体のフル投入状態、かつ、全員で、


「「「「「「レーザーサモンソード・XXX!!」」」」」」


 全部で600本のファン○ル・ソードを召喚して、もう、あっちこっちから、とにもかくにもレーザーを撃ちまくる。


 圧倒的な火力。

 だが、サイゾーも、EXレベル6000万相当のスペックを有するバケモノ。

 そう簡単に溶けはしない。

 というか、さほどダメージを受けていない!

 EXレベル6000万相当の防御力とHPをナメてはいけない!


「そんな豆鉄砲、いくら撃っても意味はないぞ」


 強靭なドリームオーラで自身を守っているサイゾー。

 そんなサイゾーに、ゴートは言う。



「意味はあるさ。こうして、しっかり、オーラを練り上げる時間稼ぎが出来ている」


「……ぁあ? 時間稼ぎ?」


「実は新しいシステムを入手してなぁ。昨日のお前との訓練の後に当てたチート。使用するのに、ちょいとオーラをタメる必要はあって面倒だし、使える時間も30秒程度とかなり短いが……そのぶん、性能は申し分ない」


 そこで、


 ゴートは、オーラドール・アバターラを解除して、単騎に戻ると、

 スゥっと息を吸い、


「カオス・インフィニット‐システム発動」


 システムを発動すると、

 ゴートの両腕に、一丁ずつ、マシンガンスタイルになっているフルパレードゼタキャノンが接続された。


「カオスインフィニッターか……また極悪な魔法を手に入れたものだな……」


 サイゾーの警戒心が一気に膨れ上がる。

 全力でガードを固めようと、いろいろと策を練っている。

 ドリームオーラの性質を変更し、とにかく死なないようにと防御スキルを積んでいく。

 EXレベル6000万クラスともなれば、とれる戦法の種類は、ほぼ無限大。

 その膨大な対処策の中から、サイゾーは最善手を取った。

 戦闘における『完全なる解答』は出せないが、『一問一答形式の最善手』を選ぶ事は得意なサイゾー。


 そんなサイゾーに、ゴートは、


「無駄だよ。防ぎ切れる訳がない。……なんで言い切れるか教えてやろうか? これで終わりじゃねぇからだよ。新しいチートはもう一つある」


 ニヤっと笑い、


「ソンキー・シャドー、召喚」


 圧倒的に神々しいオーラを放っている神の影を召喚する。

 ケタ違いに静寂な神気を纏うイケメンがそこにいた。


 ゴートは、ソンキー・シャドーを召喚すると同時、


「アマルッッ! ガメーション!!」


 召喚獣と融合できる魔法を使い、ソンキー・シャドーと一つになる。


 カっとまばゆく光る。

 その光が収束した時、

 そこには、



「ソンキーとゴートで、ソンゴートってところかな。ゴーキーでも別にいいんだが、その名前だと黒光りするあいつを思い出すんで、却下させてもらった」



 強大なオーラに包まれた魔神が立っていた。

 凶悪に神々しい後光を背負う魔人の最果て。

 完成した魔人の姿が、そこにはあったのだ。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る