4作目 ~桜舞う物語~「旅立ちの日に」

https://kakuyomu.jp/works/16818093077329865216

あき伽耶様

https://kakuyomu.jp/users/AkiKaya


 この度は自主企画へのご参加ありがとうございました。


 私はこのような作品が大好きです。誰にも訪れる人生のワンシーン。忌み嫌われる瞬間かもしれませんが、どうせ来るならしっかりと迎えたい。桜の花びらに包まれて、やるべきことをしっかりとやって、来るべき瞬間を待つ。主人公の今までの思いが伝わってきましたし、最後まで前向きな気持ちに胸が熱くなりました。


 今回は小説全般についてと、医学的な見地からのコメントについて、ということで要望をいただきました。

 この点について、この素晴らしい作品がさらによくなるためにはどうしたらよいか、自分なりに考えた点をを知らせいたします。医学的な見地からという意見ものべますが、エンターテイメントの世界では正しければ全ていい、というわけではありません。小さなことも気づいた点は述べますので、あくまで最後はご自分の判断で取捨選択をしていただければ幸いです。


① 出だし

「タイトル」「あらすじ」「出だし」で全てが決まる、と言われますが、


タイトル「~桜舞う物語~「旅立ちの日に」」

 非常に素晴らしいと思います。桜と旅立ちというのは日本人にはみなぐっとくるものがありますよね、そこで読者はキャッチフレーズとあらすじに目が行くわけです


キャッチフレーズ:「最後の客は——」

 いいですね、私は好きです。色々想像を膨らませてしまいます。


あらすじ:この物語の大事なポイントが込められていて、このお話を好きな読者が読んでみようと思えるあらすじになっていると思います。


"花冷えの朝"

 「花冷え」という言葉を初めて知りました。このお話全体を見事に表している素晴らしい言葉の選択だと思いました。


"両親が揃って……行き来する。その間にママが健太君の大好きな顔つきパンと食パンを「今までありがとうございました」とレジへ持ってきた。"


 句読点、もしくは分けると読みやすいと感じました。また、「健太くんの大好きな顔つき」と前の方にくっついて伝わる可能性があるので、「健太くんの大好きな、顔つきパン」とするか「健太くんの大好きなと」(カクヨムツールによる傍点)としてもいいかと思います。


"午後になり、「開いてることは元気な証拠」と小夜さんが歩行車を押しながら来店した。小夜さんは少なくなった私の人生の戦友だ。"


 「小夜さん」と聞いた時「誰だっけ? どこか見落としたかな?」と思ってしまいました。一人称小説で初めて馴染みの人が登場する時の表現って難しいですよね。自分なりに考えてみたものとしましては、


"午後になり、西陽が差し込む店先に色の歩行車がカタカタ音を立ててやってきた。「開いてることは元気な証拠」と言いながらひょっこり顔を出したのは小夜さんだ。彼女は少なくなった私の人生の戦友だ。" 


 セリフと、初めて登場する人物名を最初に出すのではなく、音と映像を先にだしてから、人がやってきて、喋らせるようにしてみました。これであれば小夜さんを知っている主人公が、「小夜さんだ」と思っても違和感がないと思いました。


コメント:小夜さんの戦友という存在がいいですね、改めて読み直してみると、まるでいわゆる走馬灯のようなシーンに思えてきました。


"手紙から顔を上げると、レジ台の上に勉の置き忘れたマフラーがあった。"

 勉がもう帰ったことを表すために、自分ならどうするか、練習がてら色々考えてみました。


"溶かしていった。

 ありがとう、と言いながら商店街の人混みに消えていく勉に私は手を振った。ちょうど真上に浮かぶ夕陽がまぶしくて、目を細める。やっと目が慣れてきたころにはもうその姿は見えなくなっていた。"


ラスト:

 ラストはもう感極まってしまいますね、ずっと会いたかったと言ってくれるシーンが印象的でした。素晴らしい終わり方でした。


医学的なコメント

「たまに胸痛や頭痛の症状があり、普通に生活はできていて、高齢者で、今回のようにぽっくりと死に至るような可能性のある病気」


 リクエストありがとうございます。ご指摘のとおり心筋梗塞はほぼ全人類が長生きしていれば起こりうるリスクですので、ありふれた症状かと思います。また、次に挙がるのが脳卒中とよばれる脳の血管の病気になります。脳の血管の病気には大きく分けて二つあり、脳出血(血管が破ける)と脳梗塞(血管が詰まる)があります。脳梗塞は麻痺、喋れない、などがメインで、すぐ死ぬというよりはじわじわというイメージかもしれません。脳出血は突然ぽん、と意識がなくなり、場合によってはそのまま死に至りますので、ぽっくり、という意味では脳出血のほうが近いかもですね。一度脳梗塞を起こしていたり、高血圧、糖尿病などを抱えていると脳出血のリスクはぐっとあがりますので、リアリティを出すならちらっとそのことを出してもいいかもしれません。


例:半年前脳梗塞を起こしてから、左足が思うように動かなくなった。医者から出された薬を飲んで入るが、無理はするなと言われている。


 などでしょうか。その後脳出血をおこしたとなると、突然ですから、今回のお話ような展開になる可能性はあると思います。


 次にぽっくりといえば不整脈になります。脈がしっかり打てないとしっかり血液が送れず、体の不調を起こす前に脳に血流が行かなくなって、バタンと倒れてしまいます。運良く戻ることもありますが、戻らないとそのまま死亡、となります。ここで勘違いされやすいのが、不整脈=心臓、と聞くと胸が痛くなるのでは? と思うかもしれません。しかし不整脈は胸が痛い、という症状はなく、あっても「どきどきする」という「動悸」になります。そして「どきどきしていたら気を失った」という流れはあまりなく、「どきどきしている」と感じられる不整脈であれば脳に血流が行かないことはないことが多いように思われます。危険な不整脈はどきどきするとか感じる前にすでに意識を失って、バタンと倒れてしまいます。

 なので、不整脈が起こるかも、とわかっている人には薬が出されていたり、一度でも危険な不整脈を起こした人はペースメーカを入れることが多いと思われます。ペースメーカを入れておけば、心臓は動いてくれます。お話を作る上では(死んでもらうためには)面倒ですけどね笑


 ざっくりとこんな感じでしょうか。

 今後のあき伽耶様のご活躍を期待しております。

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