第3話おっさんと飯を食う

### おっさんのエプロン


「え、、、あの、、、どういう、、、こと?」


おっさんはこちらを振り向き、にこりと笑った。


「おー、起きたか。こっちに来て座れ。飯にしよう。」


「えー、、、あ、、はい。」

私は足早におっさんの前に座り、おっさんと向き合った。


私の目の前には、

アルミホイルに包まれた何か、

貝の入った味噌汁、

卵焼き、

ほうれん草のおひたし、

が並んでいた。


「よし。飯にしよう。」


おっさんは私のお茶碗を取り、ご飯をよそい、目の前に置いた。


「ありがとうございます、、。ってなんでやねん!!なんで!?どういう状況!?なんで知らないおっさんが家にいて、一緒にご飯食べようとしてるの?!」


私はお箸と茶碗を持ってご飯を口に入れようとして、我に返った。

おっさんは、ゆっくりとお茶碗とお箸を置き、


「ん、、、?お前、昨日のこと覚えてないのか。駅前で酔いつぶれていた時、若い男に連れていかれそうになっていたのを俺が助けたんだが、、、覚えてないのか?」


、、、ん?そういえば、、、あの時、男から腕を振り払って怒った男が私を突き飛ばした、、、。


その後、、、誰かに助けられて、、、


「その後、自分で帰れないとか歩けないとか言ったので、負ぶってこの部屋まで運んだんだ。その後思いっきり吐いて、そこら辺にぶちまけた。その後も大変だったよ。」


あーー、、、かなり鮮明に思い出した、、、。確かにそうだった、、。

私は恥ずかしくてもじもじする私をちらっと見て、話を続けた。


「あらかた吐しゃ物を片付けた後、家を出ようとしたら、お前が足をつかんで『帰るな!!こんな状態で私一人にして朝死んでたらどうするんだーーー!!』といってそのまま気を失ったじゃないか。その顔は、思い出したかな?」


おっさんは私の死にそうに赤い顔を覗き込み、ニカっと笑って再び箸と茶碗を持って食事を始めた。


「あ、、、その節はどうもありがとうございました、、、。で、このご飯は?」


おっさんは、味噌汁をすすった後、私に目を合わせ、


「家に何もなかったので、24時間スーパーで買ってきた。勝手に使わせてもらったが、一応確認は取ったんだぞ。

まず、このアルミホイルは、鮭とブロッコリーのバター焼き。鮭にはアスタキサンチンというビタミンEの1000倍の抗酸化力がある栄養素が含まれている。ブロッコリーには肝臓の働きを改善するスルフォラファンが含まれている。

さらに、この味噌汁!シジミ汁はオルニチンと言って、体内の毒素であるアンモニアの生成を抑えてくれる!酒を飲んだ日の次の日はこれしかない!聞いてるかー!」


おっさんは目をカッと見開いて言った。

おっさん、めっちゃしゃべるやん、、。


「へーーーフフフ、、そうなんだーーへーー。」

私は適当に相槌を打って、味噌汁をすすった。

「え、、。おいしい、、、。私、このシジミ汁の何とも言えない旨味が好きなのよねーー。あーーー疲れた肝臓に染み渡るーーー。」

次は、この鮭。おっさんがなんか言ってたけど、何やら体にいいらしいけど、、、。

私は鮭を口に入れた。

「んっっっ!!バターの芳醇な香りと味が鮭の身と絡んで、とってもおいしいわ!」


おっさんは満足そうな顔で私を見つめ、うんうんとうなずいている。


その満足そうなおっさんを見て、私はふと我に返った。


「で、、、おっさん、、、誰?」

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ある日、おっさんを拾う。 露庵 @omenroan

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