第16話 戦いの後で
「終わったな、」
今度こそ戦いは終わったと、地面に座り込む
「ああ、もう周りに敵はいない、俺たちの勝ちだ」
「僕の索敵にも引っかかってないので拠点内にはいないかと」
「ならいい、犠牲はどれくらい出た?」
近くにいた兵士が報告しに来る
「死者数37名、負傷者128人、そのうち治療されたものが30名ほどです」
「かなり死んじまったな、もう少し早く来れればよかったんだが」
団長が呟く
「あんたたちは悪くないさ、あのクソ野郎どもが全部悪い、むしろあんたたちがいなきゃ全滅してた、気に病むことはない」
「悪いな、慰めてもらって、んでも今はそれより次どうするか考えねぇと」
武器を取り出して磨きながら答える
「次はダンジョン攻略の予定だったよね」
団長が地図を取り出す
「あぁそうだ、だが、こうなってしまった以上、いつまた攻めてくるかわからない、早急にダンジョンを潰して、偵察を終わらせる、しかないだろう」
一つ俺に案が浮かんだ
「なぁ、前は固有スキル持ちが4人しかいなかった、だが俺たちがきて今は7人、その上手に入れたレコードを他の人間に渡せば10人なら、3人 固有スキル3人を3組に分けて、一組は拠点防衛、一組は片方のダンジョン攻略
もう一組はもう一つのダンジョン攻略、残った1人、つまり、マラと、数人の兵士を偵察に送る、これを並行して行う、これならそこまで時間もかからないし拠点の防衛もなんとかなるだろう」
磨き終えた剣を起き、次の剣を取り、血を拭き取る
「確かにそうかもしれんな、だが組み分けはどうする気だ?」
剣を磨く手を止め、人差し指を立てて答える
「今回でそれぞれ連携は取れてた、ただ、3人づつとなると、どっかは別れなきゃならない、でも凍らせるものが必要なレーゼと、それを生み出せるフローは一緒の方がいい、なら俺と団長のペアか、ヒバナとスフェーンのペアに分かれる方がいい、どうする?」
ヒバナとスフェーンを見るとなにやら相談している
「ロスト、」
スフェーンが口を開く
「私とヒバナの連携は、私がヒバナの炎に直接、酸素を送り込んで炎を強化するって方法だから一緒の方がいいかな、」
「なら、そうするか、団長、フローとレーゼ、スフェーンとヒバナ、どっちと行く?」
団長は少し考えるとすぐ答える、
「フローとレーゼの方にさせてもらう」
「わかった、ならそうしよう、いつ行くんだ?」
「明日だ」
、、、、、、
「は?」
団長が食い気味に即座に答える
「"明日"だ」
「嘘だろ?」
「無理、」
「間に合わないです」
「えーー、」
「団長は相変わらずだなぁ、」
皆が立て続けに答える
「わかった、どーせ明日行く気なんだろ?、だったらせっかくだ、鍛治工房を貸してくれ、武器を作る今作れる最上級の剣と、それに釣り合う武器をな」
「僕たちも準備しますか」
「鍛治工房はこっちだ」
「ここだな、」
「隣の部屋にある素材は惜しみなく使ってもらってかまわん、せっかくなら使えるものは使っておけ、あんたなら武器は大切にするだろ?」
「あぁもちろんだ、使わせてもらう」
隣の部屋の扉を開け、中を見る、鉄や鋼のインゴットもあるが、今は必要ない、奥にある棚を取り、気になったインゴットを手に取る
<ダグラニウム・インゴット>
闇属性を帯びたインゴット、金属としての性質は鋼や鉄と大して変わらないが、頑丈さで言えば数ランク上、
「なるほどね、こいつにするか」
二つほどインゴットを手に取り、鍛治工房に戻る、インベントリからダークブレイドを取り出し、刀身と柄を分解し、インゴットを熱して刀身と同じくらいの長さになるまで叩き伸ばす、本来なら両方溶かしてデカいインゴットにしてから剣を打ち直すが、ダークブレイドの刀身と、ダグラニウムなら刀身を真に使い、ダグラニウムを刃に使えば折れにくく曲がりにくい剣ができる、日本刀と同じ構造だ、というわけで伸ばしたインゴット二つで刀身を挟み、熱す、そしたら叩いて形を整え、元の形に整える、そして本来インゴットで周りを覆えば、重く大きくなるはずだが、鍛治スキルを持つ冒険者が鍛治をする時、金属を圧縮することができる、
ガンッ!
もうかなり形は整った、後少しだ、
ガチャリ、ドアが開く音、
「ロストー?まだかかりそう?」
スフェーンか
「まだ一本目だ、作って欲しい武器でもあるのか?」
「んー、この<ウイニングジャベリン>には満足してるし、ロストみたいに幾つも使うわけじゃないから今はいいかな、それよりこれを」
スフェーンがポーションを取り出す、
「さっき作ってきた、備えあれは憂いなし、でしょ?」
回復薬に、MP回復薬、それに解毒薬、それぞれ5個ずつ、
「助かるよ、これだけあれば、ダンジョンでもなんとかなる、冒険者になってからは学校も休まなくちゃならなくて困るけどな」
「そーだね、まぁロストはその割に成績落としてないよね」
「ははは、おかげでまともに寝れやしないがな」
剣を研磨して刃を作る、できたら柄をつけ直し、
「完成だ」
「名前は?」
武器の詳細を見る
「名前は、<ダグライザー>、能力は前に引き続き、ダークソードのMPの使用なしで使えることと、それに続き、ダークカッターの使用も可能、そして特殊効果として暗い場所で使うほど、威力が上がる、こんなところだな」
「へー、もう一本も作るの?」
「ああ、次はなにを使うかだな」
隣の部屋に再び行き、インゴットを見て回る
<光晶鉄>こうしょうてつ
水晶のように透き通り、光を溜め込む性質を持つ、そして水晶のような見た目でありながら金属の性質も併せ持つ、
「これにしようか」
「光属性の武器を作るの?」
「あぁそうだ、なんとなくだが二刀流を使う時は、なるべく対になる属性の剣を使いたくてな」
インゴットを4つ手に取って、また鍛治工房に戻り、インゴットを4つ固めてを熱す
「暑いから火傷するなよー」
インゴットを金床の上に置く、
「よいしょっと」
「ここから叩き伸ばすの?」
「あぁそうだな、」
インベントリから槌を取り出し、叩く、そして冷めれば再び熱す、それの繰り返し
「結構かかりそうだね、」
「ああ、だが、鍛治は楽しいからな」
ガン、
再び槌を振り下ろす
「これでよし、あとは研いで柄をつければ完成だ」
丁寧に砥石で刃を研いでいく、そしてその刃に木製の柄をつけ、革を巻いて滑り止めを作る
「完成だ」
「おお〜」
「名は<ペイルライザー>能力は<ダグライザー>に同じく、ライトソードと、ライトカッターのMP減少なしでの使用、そして特性として、光を溜め込むほど、光属性の魔法の攻撃力が上昇と、丁度ついになる剣ができたな」
「じゃあもう準備万端?」
「あぁそうだな、だが俺の家はポータルから遠いからな、今日はここに泊まっていくよ」
「親になんか言われたりしないの?」
「ん?あぁ大丈夫だ」
俺は拳を少し握りながら答えた、
「ならいいんだけど、私は帰るからまた明日ね」
「じゃあな」
手を振ってスフェーンを見送ったあと、少し俺は不安になった
続く
次の更新予定
2024年12月29日 20:00
ロスト ウェポンズ レコード ロスト @Rosuto_record
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