Enterキーの犬

タカナシ トーヤ

Enterキーに、惑わされ

俺は宿題の答えがわからなかった。

宿題の未提出が3日間続き、帰りに先生に怒られたばかりだ。


学校で使っているChromabookクローマブックは持ち帰っているが、余計なものを検索すると、先生にバレたりすることもあるらしい。


幸い、夜中うちの親が2人で出かけたので、父さんの部屋に入り、PCを開けてみることにした。


うちの父さんはセキュリティに疎い。

ウィルスバスターズとかもインストールしていないし、パソコンのロックもかけていない。

つまり、すぐに使えて、バレもしない。


俺はそっとパソコンを起動した。


起動とともに、ブラウザが開かれ、画面一杯に水着姿のグラビアアイドルの画像があらわれた。


おいおい、母さんに見られたらどうするんだ。


ブラウザを閉じると、「エロ画像」と書かれたフォルダが現れた。


なんと安直なネーミング。

おいおい、母さんに見られ(略

厨二、いや中2の俺でもこんなアホなタイトルはつけないぞ。


フォルダをクリックすると、全身をロープのようなもので縛られた女性のエロ画像が出てきた。


俺もスマホでエロ画像はよく見ているが、こんなヤバめのやつは初めて見た。


俺の股間は一気にMAXサイズになった。


父さん、こんなヤバい趣味してたのか。

まさか、あのおっさんみたいなうちの母さんにもこんなこと…おぇっ。


俺は軽く吐き気を催しながらも、Enterキーを押して次の画像を開いた。


今度は何やら白い液体(あえて言わず)をかけられた女性の画像。


やばい。やばすぎる。

興奮した俺はEnterキーを押しまくった。




Enterキーを押したら、エロ画像が出る。

Enterキーを押したら、エロ画像が出る。

Enterキーを押したら、エロ画像が出る。





フォルダには数えきれないほどのエロ画像が入っていたため、父さん達が帰宅するまで、俺はその行為を繰り返した。

(注:行為=Enterキーをおすこと)



次第に俺の脳内では、Enterキーとエロ画像が結びついてしまった。



次の日。


学校でパソコンを使う授業があり、着席した。

キーボードを叩こうと右手を見たら、あれが目に入ってしまった—


…そう、Enterキーである。


学校でEnterキーを押したところで、エロ画像は出るわけがない。


しかし、昨日の繰り返し行為のせいで、Enterキーを見た俺の頭の中は、エロ画像でいっぱいになってしまった。


俺はカバンから物を探しているフリをして、しばらくの間股間を隠した。



つづく



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Enterキーの犬 タカナシ トーヤ @takanashi108

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