その婆、要注意人物!②
崔 梨遙(再)
1話完結:900字
喫茶店の常連客、晴美さん婚活中72歳。漏らすらしい。それを自分で喫茶店(飲食店)で話すのだからスゴイ!
いつも自転車を乗り回しているのだが、4時間もたないと言っていた。デニムパンツの裾から滴る。滴りを落としつつ、団地の階段を上り廊下を歩く。
晴美さんは掃除をしない。
「なんで私が掃除せなアカンの?」
と言う。どこかの誰かが、掃除をしてくれているようだった。この時点で、僕は晴美さんが怖くなった。
オムツは履いているらしいが、オムツでは防ぎきれないらしい。だから、電車に乗れないという。ところが、同窓会には電車に乗っていく。“電車に乗れるんかい!”と思った。
同窓会での出会いを楽しみにしていたが、5年間、コロナで同窓会は中止になったらしい。しかし、晴美さんは過去の同窓会にはネルシャツ、デニムパンツ、サンダルで行ったらしい。
「あなた、そんな服装で行ったの?」
常連さんを驚かせていた。しかも、晴美さんは自分で髪を切る。だから、後ろはいつも虎刈りだ。でも、1万円以上の化粧水は買う。1万5千円だったかもしれない。
「私は元がいいから、これだけで充分通用するねん」
今年、久しぶりの同窓会。
「どうしようかなぁ、同窓会。行った方がええと思う? どう思う?」
ママさん達に意見を求めていた。出会いを求めているのだから行きたいはずだが、どうしていろいろな人の意見を聞くのだろう? 背中を押してほしいのだろうか? っていうか、トイレはどうするのだろう? 不思議な人だ。
僕は晴美さんが嫌いだ。或る日、その日も晴美さんのマシンガントークを延々喰らっていたら、晴美さんが、
「聞いてる?」
と聞くから、
「聞いてません」
と答えたらキレられたのだ。
「なんで、聞いてくれへんの?」
「僕、同じ話ばっかり何十回も聞いてますよ。晴美さんの話、つまんないし」
その時、
「私は何回でも喋りたいねん!」
と言われた。聞く側のことを何も考えていない。そこで僕はキレた。それから、僕は晴美さんとまともに会話をしていない。
そして、その日も晴美さんは他の常連客と漏らした話で盛り上がっていた。後ろの席で、僕がカレーを食べているというのに。
晴美さん、戦うなら他所で戦ってください。
その婆、要注意人物!② 崔 梨遙(再) @sairiyousai
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