地球最後の日の、旅立つ列車

夏川

第X話

地球が終わる最後の日の

他の惑星に向かう電車の最終便

満員電車のドア付近の人を中へと押し込む駅員がやってきた


ドア付近に立つ少年は彼が来るのを待ち望んでいたようだ


発射のベルは鳴っている


彼はなんとか電車の人混みを抜け出し降りた

少年は駅員の腕を引っ張り、自分がいた隙間に押し込む


ドアが閉まる


焦った顔の駅員に少年は


「いつもご苦労様です」


ひとことだけ放たれたその言葉は

電車を突き動かした。


発射した電車は大気圏より上を目指す




地上に残った少年の行方は誰も知らない。

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地球最後の日の、旅立つ列車 夏川 @Abnomahou

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