初任給って、どうしたっけ

第1話

スーツを着た会社員の父と上品な母親、芝犬、大きな家。

良いとこの子。

そんな人たち。

初任給では家族、両親をランチに連れて行きたいです。

鰻重を食べさせてあげたい。

ワインやボールペンをプレゼントしようと思います。初任給は手取りで22万です。

そんなニュースたち。

22歳や２０歳の若者たち。

私のアルバイトの初任給は8万円くらいだった気がする。

ずっと病気で動けず、祖父母達からのお年玉の2万円で切り崩して欲しいものを買っていた。

アルバイトをパニック障害の発作やうつ病の体の揺れ、何度も辞めると言ったのに店が回らなくなるとのことで店長から辞めさせてもらえず、続けていたら。

一度に8万円も手に入った。

大事だった。

通帳の記載を不思議な気持ちで見た。

この銀行口座に、8万円もあるんだ……。

一日5時間、週5だっただろうか。

やがて、2年の月日が経ち、アルバイトの貯金は60万になり、半分は車の普通免許取得に使った。

昔は普通がいやだったけど、「普通がいちばん」。

でも、私にはスーツを着こなす父も、専業主婦の母も、大学を卒業するきょうだいもいなかった。猫はたくさんいたけど。

それなりの家に生まれた子は、穏やかに過ごして、反抗期だって親や世間への鬱憤さえなければ穏やかなままのではないだろうか。

世の中には、

良いとこのぼっちゃん。

良いとこのお嬢さん。

というのが確実に存在する。

両親の二人とも大学を出ているとか。

社会人になってどちらも自立してから結婚をしたとか。

なんか「非行に走らない家庭」だ。

あなたはそのままでいいのよ。

子もまた世間の、親の背中を見て、同級生や年長者の目指す志を受け止め、憧れ、模索し、選び取る。

私は進路を追えなかった。

周りの努力は見えていたけれど、じゃあ、どうなれば良いのかよくわからなかった。

体育館での学校説明会もどの高校を見ればいいのかわからなかったし。

誰かこのプランが最適で同じ道を友達も進むよ、あるいはとても良い校風ですぐ馴染めるよ、というナビゲーションがあったらどれだけ楽か。

わかりやすいか。

選びやすいか。

現実は、全部。

「あなたのやりたいようでいいのよ」

決められないし選択肢も何もわからず病気で倒れた。

なりたいものはいくつもあった。

レオナルド・ダ・ヴィンチとかなりたい人トップだ。

なのにだ。

私は考える。

結婚したい。

子供は欲しい。

大学を出たい。

夢に向かいたい。

家族は仲がいいのが理想だけれど、たびたびどうしても衝突がある。

私に落ち度はないけれど、他者の求める理想に協力しない自分がいる。

効率が悪いからだ。

昔は両親によく責められた。

うつ病なのに自主学習を強要させられたり、まず元気になることが当面の目標、家庭内の亀裂の緩和、治療が最優先なのに、病気のことを理解してもらえなかった。

そんな時に父のほうの祖父母が胃がんやら肺炎やらなのか、うつ状態になった。介護ものしかかった。

父は叔母に祖母の介護の仕方を教えたが、叔母は祖母の下の世話など、教えたことをしなかったらしい。

私もあの忌まわしい、かつて我が家の家庭崩壊を招いた親族には関わりたくない。

次々と本当にみんなうつ病や退行現象や精神疾患、仕事をすぐ変える、すぐ辞める、引きこもりになる。

だけど、我が家もそんな感じ。

やっと父の仕事が落ち着いた。

母は長いこと同じ場所に勤めている。

私のいつかのあの日の。

正社員の初任給19万はどこかに消えてしまった。

一カ月10万貯めればすぐ10ヶ月で100万いくよ！！

と辛い職場の若い子達のパワハラで統合失調症に陥りながら訴えて。

3ヶ月も経たずに退職した。

今、またやっと正社員になれた。

最近は特浴とか一般浴とか。臥床とか離床とか。

いろいろゆっくり、習っている。

申し送りとか一つとってもみんなの前に立って発表する人は大変だと思う。

とある利用者の熱の報告をする。

でも、なんで熱の報告をするのかその理由も振り返って付け足したほうがスムーズに申し送れる。

昨日いなかった職員にも看護師にもわかりやすい。

人によっては「どんどん送ってって！」とぴしい！

と言い放つ人もいるので情報の伝え方って大切で大変なんだなと感じている出勤日。

ところで気持ちがいっぱいいっぱいになって書いた新しい落書きは消えなくて大変です。食器洗い洗剤や激落くんスポンジ、アルコール入りウェットティッシュ。

あらゆるものを駆使しましたが「死ね」が消えません。

いつか姪と甥に「なんてかいてあるのー？」と言われたら素直に言うしかありませんね。

そして、お前達は絶対やっちゃダメだよ、特に公共の遊具や看板やらにはまた違った問題が関わってくるからね、と反省するしかありません。

私の部屋の近くだけ世紀末です。荒れてる。

このエッセイを書いていると、

あー、とても、このアプリを開いて、あの時思いの丈を書ける心境じゃなかったけれど。

カクヨムでみんなに向けていま、こんな思いで、こんなことをしそうなんだ、って書けたら。

書いていたら。

部屋の壁は白いままだったかもしれないな。

そう思います。

しかし、計画性の無い無神経な母の思いつきも買い物も許せない。

まあ、私もせっかく頑張って貯めた貯金、ゼロなんですけどね。

お金を働いて稼ぎながら、楽しみなイベントに向けて、人生を生きる。

今はそれが仕事を続けるモチベーションです。

6月はイベントに父に付き添ってもらって、ついでに東京の銀座をぶらりとしようと思うのですが。

東京に詳しい方、銀座に行く服装や立ち振る舞いや、寄ってみたり、見て損はない、素敵なお店などありましたら教えてください。

ちなみに資金はあまりないです。

街中でも公園でも1日で楽しめるような場所とか巡り方とか。いいですね。