第2話 襲撃

「…どうして先程はあんな大胆な事をしたんだ。お前はそんなことしないやつだったろ」

捕まえた犯人を署に送りつけたあと、

カトリックからそんなことを聞かれた。

「うーん…」

私は正直誤魔化そうかなって思った。理由がとてもじゃなかったから。

(まあ誤魔化した所でバレるか…)

どうやら私は嘘をつくのがとても下手らしい。周りの人からよく言われた。

…私の中では完璧にごまかせてたはずなんだけどなぁ。

まあそんなことはさておき。

「…さっき、犯人じゃない方の人いたでしょ?ほら…私が犯人と間違えた人の方!」

「あぁ、確かにいたな。あいつがどうしたんだ?」

私は嘘偽りなく答える。

「…あの人、多分ヤバいよ。私があの時家壊してでも止めなかったら多分…犯人の方、殺されてたよ」

「……っ、そいつは恐ろしいな…」

カトリックが固唾を飲むのがわかった。きっとカトリックは私の言うことを信じててくれたんだろう。

私は『気配』に敏感だ。

あの人から感じた殺気…凄かったな。

「まあお前が言うならそうなんだろうが、敬語を使え敬語を。今仕事中なんだから」

「もー別にいいじゃん今私達二人しかいないんだし!私兄に対して敬語とかめちゃくちゃ嫌なんですけどー」

「知らん」

やっぱめんどくさいなカトリック…。




その日の夜中。俺はとてつもない音で目が覚めた。いや、音と言うより…

放送?

だるい体を起こし、眼を擦りながら窓を開ける。

(勘弁してくれ…昼に1回壊されてんだぞ俺の家。少しはゆっくり…)

そんなことを思っていたが、外を見た瞬間頭が真っ白になった。

「なんだよこれ…」

辺りの建物ほぼ全てが燃えている。火事か?と思ったがあちこちから聞こえる叫び声や爆発音からして違う。

これは…。

「や、やめて!うちの子を」

「黙れ」

バン、と発砲音が聞こえた。またしてもあちこちから悲鳴。

俺はもうなにがなんだか分からなくなっていた。犯罪者が暴れている?放火犯がなにかをしようとしているのか?

「おいおい…そんなとこから顔出してたら危ないぞクソガキ」

「っ!?」

その瞬間、反射的にしゃがんだのだがパリン、という音がした。

恐る恐る見てみると、窓ガラスが粉々に割れている。そして床には小さな何かが落ちていた。これは…弾丸か?

しかもただの弾丸じゃない。恐らく銀で作られているな。

(誰かが殺そうとしてきてる…!?)

まずい…これはまずい。

今打ってきたヤツらは確実に俺を殺しにくるだろう。外から凄まじい殺気がするからな。

問題はどうやって逃げるかだ。家にいることはバレているので玄関から逃げようにも待ち伏せされている可能性が高い。窓から逃げようとしても変わらないだろう。

…一か八か、賭けて見るとしよう。

その瞬間俺は自分の爪を思い切り剥いだ。

指の先から大量の血が溢れ出す。

「ぐぅ…っ」

とてつもない激痛が入る。でも逃げるためにはこうでもしないと…。

そうして俺は窓から思い切り飛び降りた。

わかった人もいるんじゃないだろうか?俺がしようとしていること、それは。

「翼くらい生えやがれってんだ!!」

俺がそう叫んだ瞬間、体がふわりとする感覚になる。

(よし…)

ずっと疑問に思っていた。昼に見た警官やその他諸々の人達は翼が生えているのにどうして俺だけ生えていないのか。

正直今もなんで生えたかわからんわ。

まあなんか生えたからいいとして、

俺は先程爪を剥いだ方の手を広げた。

そうして見つけた銃を持つ男に向かって叫ぶ。

「打て!!!!」

その瞬間、俺の指先から凄まじい速度で弾丸のようなものが発射された。

…違うか。血の塊が打たれたのだ。

これは完っっっ全に俺の偏見なのだが、吸血鬼って言ったら空飛んで血を操るってイメージあるだろ?だから俺にももしかしたら〜なんて思ってな。

ま、上手く行ったから結果オーライってことよ。

とはいえ、周りはどこもかしこも炎、ほのお、ホノオ。早く離れないと行けなさそうだ。

そうして俺は地面に降りてもう一度飛ぼうとし

「危ない!!!!」

瞬間俺は体を吹っ飛ばされる。

「いって…」

俺は飛ばされた方向をみた。

母さんが打たれていた。


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夢が絶えない吸血鬼 そーてつ @rait0117

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