最終話 大型犬はテーブルに乗ってはいけない

お母さんもお父さんも愛ちゃんも佳奈ちゃんもニコニコとマロンを眺めています。

マロンは勢いあまって食卓の上に飛び乗りました。

それでもお父さんは目を細めてそのまま眺めています。

お母さんも笑いながら

「まあ、なんてかわいいんでしょう」

とほったらかしです。

「料理を出すからそろそろ降りようね」

と随分経ってからお母さんはマロンを抱き上げて、

フロアにおろしました。

「そうか!可愛いがられるにはテーブルの上に乗ったらいいんだ」と僕は思い、鎖で繋がれていないことをこれ幸いに、テーブルの上に飛び乗りました。

「こら!なんてことをするんだ」

とあの優しいお父さんが⿁の形相で僕を叩き、テーブルから引きずり下ろしました。

挙げ句の果てに、蹴られて僕は元の土間に引きずられて行きました。

僕は何が悪かったのかまったくわかりません。

こんな騒ぎがあった日でも、我が家には穏やかなおやすみの時間が訪れます。

妹の佳奈ちゃんは眠くなると泣き出します。

お母さんは佳奈ちゃんをトントンして寝かせつけました。

その様子をお姉ちゃんの愛ちゃんは羨ましそうに眺めています。

愛ちゃんはいつもお母さんに絵本を読んでもらっています。

今日も愛ちゃんはヘッドに本を持って来ました。

「ママ、今日も読んで」

と犬とロバのお話をおねだりしています。

それは小さな犬とロバを飼っている人が犬ばかりを可愛がっている話です。

犬がテーブルの上で転げ回ってエサをおねだりしても飼い主はエサをくれます。

ロバが真似をしてテーブルに乗って、飼い主に叱られて叩きだされます。

愛ちゃんは「かわいそうなロバさん」と言いながらも笑っています。

もうそろそろ眠くなってきたので、愛ちゃんは妹の佳奈ちゃんのように抱っこしてトントンして欲しくなってきたようです。

愛ちゃんはお母さんが、妹の佳奈ちゃんが眠くて泣き出したとき「もう眠いのね、よしよし」

とトントンしてもらっている様子をいつも見ています。

愛ちゃんは渾身の演技で泣き真似をしました。

すると佳奈ちゃんの世話で疲れているお母さんは「愛はもう2歳でしょ、お姉ちゃんなんだ

から、佳奈が泣いたら抱っこしてトントンしてあげなきゃダメよ!」

と言って隣の部屋に行ってしまいました。

「あ~そうなんだ」と大型犬の僕はテーブルの上に乗ってはいけない理由に気づきました。

お母さん明日は愛ちゃんに優しくしてあげてほしいなあ…と思いながら、冷たい土間のタイルが心地よくて眠りに落ちました。

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抱っこしてトントンしてほしい @J0hnLee

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