開発部奮闘記

 今日はナタリア様が開発部にいらっしゃる日です。私はナタリア様の案内の為に開発村の門の前で待っています!


 カラミタ領開発部は最初こそは領都の近くにありましたがダンテ所長やフラルゴ所長がよく爆発を起こすので少し離れた所にある廃村を与えられて、自分たちで修繕しながら使っております。


 最近はアマンダ相談役がいらっしゃってからは研究開発がかなり進んで、一番忙しかった第四開発部の方々も長期休暇を取れたようで良かった。


「エレンー」


「ナタリア様ー」


 遠くからナタリア様が私を呼んでおります。あぁ、なんとも美しい。夜空のような黒髪は太陽の光で満天の星のように輝き、紅い瞳は朱い月のように見るもの全てを引き込む魅力があります。スタイルもまるで舞台女優のように出る所は出て、細い所は細い。もう全てが美しいですよ。


「エレン?」


「も、申し訳ありません。ナタリア様に見惚れておりました」


「もう褒めても魔法と拳しか出ませんよ〜」


 ナタリア様は昔のお知り合いに私が似ているらしく、初めてお会いした時から仲良くしていただいており、アウル様から開発部にいらっしゃった際のお世話役に任命されました。


 また、最近はカラミタ領軍の方にもお供しているのですが軍人さんの訓練に交じって、軍人さんをボコボコにしている姿は伝説の戦乙女ヴァルキリーそのものでした。


「今日は、第四開発部でよろしかったですか?」


「ですわ。本日は改良されたSRセヘル・リッターが完成したらしく、お披露目にわたくしも参加して欲しいと連絡ありましたわ」


 先日、アウル様達は物語に出てくるセヘル・リッターを回収し、フラルゴ所長やアマンダ相談役が徹夜で調査していたようです。


 まさかですよね。伝説の人物で空想上だと思いきや、人が乗り込んで操作する兵器なんて。


 でも、調査後にその情報を基に研究開発が始まったようで、第三,四開発部の職員はまたゾンビみたいになっていました……


「では、第四開発部までご案内致しますね」


「よろしくお願いしますわ、エレン」


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜


「ナタリア様、ようこそ」


「久しぶりですわ、アマンダ」


 このお二人が並ぶと輝きで目が潰れます。アマンダ相談役は噂によるとアウル様を弟のように接しているようですが、目と手は獲物を狙う肉食獣ということが囁かれています。


 しかし、女の私が言う事でありませんが、アマンダ相談役はエロいです。めちゃくちゃエロいです。大切なことなので2回言いました。太陽のように紅い長髪は艷やかで、ツリ目で泣き黒子なんてエロい。高身長でおっぱいも大きくて、腰は細く、お尻は程よく大きい。女である私でもお付き合いしたいレベルですよ。


「フラルゴ所長〜 アマンダ相談役〜 ナタリア様〜 試験開始します〜」


 第四開発部のマスコットキャラの人が試験開始を伝えに来ています。勿論、SRに乗り込むのは我らが総室長のアウル様です!

 戦争から戻ってきてからは、放心状態でして、SRの改良版が完成しても副隊長のオネスト様に試験を任せていました。


 開発部に来ることも少なくなり、我々も心配しておりましたが専属メイドのカミラさんが活を入れたらしく、アウル様は戻ってきました。良かったです。夜が激しかったらしいですよ。


「こちらHQよりリッター01へ応答せよ」


「こちらリッター01。感度良好。HQ感度送れ」


「こちらHQよりリッター01。感度良好」


 新装備の一つである通信魔導具です。今は二百m以内なら問題なく会話が出来る魔導具で、今後のSRには基本装備にするそうです。


「これよりフロート走行の試験に入る」


「HQ、了解」


 SRは試験場を滑るように動きまわっています。倒木や土壁などの障害物もありますが、スムーズに避けています。更にもとから早かった移動速度も軍馬を超えています。


「射撃試験及び移動攻撃試験に移る」


「HQ、了解」


 大剣しかなかった武装はDTLダンテ・ライフルをモデルに魔法ライフルを作り上げました。私が!私が作りました!

 通称SR02セヘル・リッター・セカンドの装備は魔法ライフル、大剣改、大盾になりました。更に装甲は三重装甲になり、対魔法対刃性能も上がりました。


 魔法ライフルの試射も命中率が九十%を超えたので私は満足です。ムッフゥー


「これより最終試験に移る」


「HQ了解。ゴーレム起動」


  最終試験来ました! フラルゴ室長とナタリア様が召喚したゴーレムとの戦闘です! フラルゴ室長はシリウス帝国でも指折りのゴーレム使いでしたし、ナタリア様も人間のようにゴーレムを動かすので半端ないっす。


 アウル様は化け物です。あり得ない。フラルゴ室長とナタリア様はゴーレムを6体も召喚しているはずなのにゴーレムの攻撃を全て回避して、ライフルで核の魔石を撃ち抜いています……


「ゴーレムの沈黙を確認。試験は良好だな」


「HQ、了解。帰投願います」


 フラルゴ室長が泣き崩れてます。前回の試験の時に徒手空拳ステゴロでボコボコにされてから、SRの研究の合間にゴーレムを改良していると噂がありましたが本当だったようです。

 後は、戦闘時の稼働時間の確認くらいですかね。第三開発部所属の私としては魔法ライフルの発展型を作らないといけないのがつらたんです。


「エレンー 帰りますわよ〜」


「かしこまりました、ナタリア様〜」


 私はナタリア様と一緒に開発部の寮まで帰ります。専属メイドのマリアさんと合流して、食堂でご飯を食べて解散します。

 エレン・フォン・フェルトマン。私は没落公爵家で過去の勇者の末裔であり、転生者です!


 産まれた頃には、フェルトマン公爵家は没落していて、食べる物に困っている状態でした。父親は知りませんが母上と弟妹ていまいを食べさせる為に仕事を探している時にカラミタ領の求人を見つけて、家族で移住しました。


 家は無料、給料よし、休みある。最高の三拍子が揃っていたので最高でした。研究が行き詰まっている時は、連日徹夜ですがね……


 明日も元気に研究する為に早く寝て身体を休ませます。


「エレン・フォン・フェルトマン。神側が召喚した勇者の末裔と心配していましたが問題は無さそうですわ」

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災厄の梟 @lusifu579

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