信長曰く、ODA、NO無駄金。

加賀倉 創作

信長曰く、ODA、NO無駄金。

【注意】加賀倉は一切の政治的思想を持ち合わせていません。特定の個人、集団、組織、機関、国家などに楯突く、与することに全く興味がありません。誰を、どの国を、擁護することも、非難することも、不必要にすることはありません。ただ、面白かったらネタさせていただく、物語に組み込ませていただく。それだけです。そして、本解説は、社会貢献でなく、ただの加賀倉の今後の作品への布石です。




 今日は、織田信長について……


 ではなく、『ODA(Official Development Assistance=政府開発援助)』についてです。


 なぜこんなことを解説するのか、理由は聞かないでください。


 生きていれば必ず呼吸・代謝するように、加賀倉が表現したいことを表現しようと思ったら、これを書かざるを得なくなった、それだけです。


 では行きます。


 『ODA』とはそもそも何か。


 めっちゃ雑に言うと、開発途上国あるいは国際機関に対する、『贈与』や『貸付』などによる資金援助だったり、技術提供のことです。


 ODAは、『多国間援助』と『二国間援助』に分かれます。


 『多国間援助』というのは、援助側、被援助側がサシでやらずに、複数の援助側の国々は途上国の経済開発とか福祉の向上に携わってる国際機関に資金を投入します。


 つまり、オール・フォー・ワン的考えですね(ヒロアカではない)。


 これは、援助側の特定の一国の影響力が大きくなりにくいです。


 一方で『二国間援助』というのは、文字通り、一国から別の一国への援助、サシです。


 ワン・フォー・ワンです(今も禁止カードでしょうか?)。


 これは、めっちゃ貸し借りの関係明らかです。


 で、この『二国間援助』は、『有償資金協力』と『贈与』に分かれます。


 要は見返りの有無ですね。


 で、『贈与』はさらに『無償資金協力』と『技術協力』に分かます。


 前者はそのままです、お年玉です。


 後者は、『JICAジャイカ』からの専門家派遣とか、名前だけでも聞いたことありますかね?


 てな感じで、ODAと言っても、色々ありますねぇ。


 ですが今日は一旦……


 『有償資金協力』にフォーカスしたいと思います。



◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●



 『有償資金協力』とは何ぞや?


 あれです。


 『円借款えんしゃっかん』って聞き覚えがありませんか?


 よくニュースで聞きますね。


 日本は、外国に、途上国に、お金を貸してます。


 それもたくさん。


 (前述の通り、無償で資金提供したり、無償で技術支援することだってあります)


 ここで、こんなフレーズを思い浮かべた方、いませんでしょうか。



〈〈〈〈 あーっ!! ばら撒きだぁ!! 〉〉〉〉



 お気持ちはわかります。


 でも……


 違うんです。


 冷静に、聞いてください。



〈〈〈〈 でもっ!! ばら撒いてるのは、確かですよね!! 〉〉〉〉



 はい。


 まぁ、『ばら撒き』の定義にもよりますが。


 『絶対的』にはばら撒いてます。一円だろうが、一兆円だろうが、ばら撒きは、ばら撒きです。


 『相対的』にはどうでしょうか。


 ばら撒いてない、と思います。


 なぜか。


 『有償協力』が多いんですね、他の先進国に比べて日本は。


 つまりお金を『利子』をつけて返してね、って言うケースが多いんです。


〈〈〈〈 あのぉ……それってデータとかあるんですか?? 〉〉〉〉


 データはありまぁす!!


 はい、ふざけました。


 陳謝します。


 では、ここからは真剣です。


 念の為、印象操作や洗脳にならないように、私の「セイフ、『相対的』にはばら撒いていないのでは」という主張に不利なデータや事実も交えながら、論じていきます(ほとんどデータです)。



◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●



 まず、予算ではなく実績ベースで、二〇二二年のODA実績上位十ヶ国(これで故意に有償協力の割合が低い国を抽出したわけはでないと証明できると思います)の援助支出総額に占める二国間貸付の割合を見てみましょう(見易さのため、漢数字でなくアラビア数字で記載しますね)。


 こちらをご覧ください。


①日本

63.0%(総額223億ドル)


②フランス

32.2%(総額203億ドル)


③カナダ

24.2%(総額93億ドル)


④ドイツ

17.5%(総額402億ドル)


⑤イタリア

6.4%(総額69億ドル)


⑥スウェーデン

2.2%(総額55億ドル)


⑦アメリカ

0%(総額612億ドル)


⑧イギリス

0%(総額159億ドル)


⑨オランダ

0%(総額65億ドル)


⑩ノルウェー

0%(総額2億ドル)


出典:OECDデータベース(OECD.Stat)

(2024年5月)


 ちなみに、上記十カ国以外も全て含めた国での支援支出総額に占める有償協力の割合は、14.0%です(まぁ今回の場合平均なんて出してもあんまり意味ないように思いますが)。


 用心深い方は、ソースに飛んだ上で、他にも各国のGDPとかも合わせて調べてみるなどしてもいいかもですね。


 でも、こんな声もありそうです。



〈〈〈〈 他の国の事情なんて知らないよ! 貸して利子がついて返ってくるのか知らんけども、今は自国に注力すべきでしょうが! 〉〉〉〉



 気持ちはわかります。


 私もそう言いたいです。


 実際そう思います、心から。


 だがしかし、ODAしないと……


「あいつだけ援助やってないやん」(by 他の先進国)


「あいつだけ援助してくれへんやん」(by 途上国)


 となれば……


 その行く末を想像してみてください。


 おわ、終わりですよね。


 まぁ、全てを自国で賄える超資源大国、超農業大国まだしも……


 日本はそんなことないです。


「資源? あの時ケチだったから輸出してあーげない」


 と、もし言われてしまったら。


 日本全体の二〇二二年度のエネルギー自給率は、12.6%です。自給自足率100%超えている資源はありません。


 原油の輸入先ですが、今年BRICSに加入したサウジアラビアに原油輸入全体の39.2%、アラブ首長国連邦に38.5%を依存してます。


 石炭、天然ガスはオーストラリアや東南アジア(あとはロシアなんかも上位にランクインしてます)からが多いです。


「食料? あの時出し渋ったから今回は見送りで」


 と、もし言われてしまったら。


 日本全体の二〇二二年度の、食料自給率は、カロリーベースで38%、カロリーベースの食料国産率(家畜の飼料自給率を反映しない)でも47%、飼料自給率は26%です。


 お肉とか、国産もたくさんスーパーに並んでいるように見えて、それらを育てる飼料のことを考えたら、ほぼ輸入してるようなもんです。


 お肉、食えなくなる??


 ……。


 こっわ!!


 魚も良いぞ(by 魚屋の回し者)。



◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●



 で、次です。


 やたらめったらODAするのもどうやねん、という声も依然あると思うので、一応全体として費用を抑える努力というか、ちゃんとリターンが来るような仕組み作りができているのかってところも、見ていこうと思います。


 まず、日本のODAの『予算』。


 ODAの予算はここ三十年ほどで、大幅減少の後、横ばいになってます。


 こちらをゴランください(誤植ではないです)。


【一般会計ODA当初予算の推移(単位:億円)】

一九九一年、8,831

一九九二年、9,522

一九九三年、10,144

一九九四年、10,634


〜〜〜


二〇〇一年、10,152

二〇〇二年、9,106

二〇〇三年、8,578

二〇〇四年、8,169


〜〜〜


二〇一一年、5,727

二〇一二年、5,612

二〇一三年、5,573

二〇一四年、5,502

二〇一五年、5,422

二〇一六年、5,519

二〇一七年、5,527

二〇一八年、5,538

二〇一九年、5,566

二〇二〇年、5,610

二〇二一年、5,680

二〇二二年、5,612

二〇二三年、5,709

二〇二四年、5,650


出典:外務省『ODA予算』https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/yosan.htmlより。

(2024年5月)

注記:一部の年のデータを割愛。


 あぁ、意外と、減ってんなぁ。


 まぁでも、これはあくまで『予算』ですよ?


 お察しの通り……


 その一方で、『実績』は増額傾向です。


 こちらをゴルァください(おふざけ陳謝)。


【日本のODA実績推移(単位:百万ドル)】

※以下データ、二〇一八年から数字が爆増していて、「急にばら撒きすぎやん!」と一瞬なりますが、二〇一七年以前の計上方式では、過去の貸付の回収額のマイナス計上を反映していたのを、二〇一八年以降では、回収のマイナス計上をしなくなった影響が大いにあります(増えてるのは確か)。


二〇一四年、9,483

二〇一五年、9,203

二〇一六年、10,417

二〇一七年、11,462

二〇一八年、14,164

二〇一九年、15,588

二〇二〇年、16,260

二〇二一年、17,636

二〇二二年、17,500

二〇二三年、19,601(※二〇二三年のみ暫定値らしいです)


出典:OECDデータベース(OECD.Stat)

(2024年5月)

注記:駄文を追加



\\\\爆⭐︎増////



 しかも、財務省のホームページでODAの『予算』と『実績』を比較しようとしたら、『予算』は円表記で、『実績』はドル表記なの、ややこしいですね。


 まぁ、実績は『主要援助国との比較』的なデータしか載ってなかったので、そう表記するしかないのはわかりますが(わざとかな?)。


 にしても、再度言いますが、ODA全体として増えてるのは確かです。


 一応、二〇一一年ごろからの予算の設定からして、「本当は抑えたい(というフリかもしれない可能性も微レ存)」と言う気持ちは汲み取れないことはないです。


 ただ、そう言うわけにもいかねぇんだ、という状況が続いちゃってるんでしょうか。


 まぁ、実績が予算を上回っちゃうのは、擁護できない、とかでなく、世界情勢からした必然ですね。


 だって、他の国も、二〇一四年→二〇二三年のODA実績推移(単位:百万ドル)を見ると、


アメリカ、33,096→66,046

ドイツ、16,566→36,682

イギリス、19,263→19,111

フランス、10,620→15,426

カナダ、4,240→8,074

イタリア、4,009→6,014


出典:OECDデータベース(OECD.Stat)

(2024年5月)

注記:2015年から2022年の数値を割愛。


 ですからね。


 周りもほとんど増えてると言っていいでしょう。


 ここで出さにゃ日本終了です(まぁとは言え、最低限国内で支援するべきところはしてくださいね、はい)。



◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●



 また、無償協力(返さないでいいよの支援)の抑制も、ある程度は確認できます。


【円ベース無償協力実績総額】

二〇二一年、1275億円


二〇二二年、1266億円


0.7%減。


【ドルベース無償協力実績総額】

二〇二一年、11.6億ドル


二〇二二年、9.6億ドル


17.1%減。


 これ以上減らしたら、グローバルサウスの皆さんから、「日本は支援してくれなかった!」となり、資源や食料を止められない、かも??


 円とドルで減少幅に開きがあるのは、円安のせいですね(最近為替変動狂喜乱舞でやばい)。


 で、無償協力に対して、有償協力は拡大傾向です。



——ここ、大事です——



※以下データ二〇二二年までの累計の話です。

※換算率は、二〇二一年=109.7653円/ドル、二〇二二年=131.4283円/ドル


【円ベース有償協力実績総額】

二〇二一年、13.3兆円


二〇二二年、18.4兆円


38.4%増。


【ドルベース有償協力実績総額】

二〇二一年、121.2億ドル


二〇二二年、140.2億ドル


15.6%増。


 いやぁ、面白いくらいに、ここぞとばかりにお金を貸しまくってるのがわかりますね。


 裏を返せば、それだけ世界が変革してるんですねぇ。



 で、これまでに貸した分の取り立て(回収)もちゃんとしてます。


【円ベース有償協力回収金実績総額】

二〇二一年、6.7兆円


二〇二二年、7.2兆円


6.8%増。


【ドルベース有償協力回収金実績総額】

二〇二一年、61.8億ドル


二〇二二年、55.1億ドル


10.8%減(これは痛い。円安のせいで、ドル換算すると回収額が目減りしてしまうのは致し方なしか……)。


出典:2023年版『開発協力白書』p.176(https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/files/100634339.pdf)

(2024年5月)

注記:表より一部数値を抜粋、そして駄文を追加


 うんうん。


 有償協力は、増えてますね。


 つまりは、こんなふうにまとめられそうですね(大いに主観込み)。



「将来への投資として、『ODA』したいんだけど、無償でばら撒きやってたら終わってまう! よぉしそれならば……」


(K氏は力をためた!!)


「たくさんお金、貸します! 色を付けて返してくださいね!」



◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●◯●



 まとめを。


 日本が途上国にODAしまくるのは、国際社会における先進国として(世間体的に)も、国の経済活動を成り立たせるために(持たざる者の宿命として)も、必須なんですよね。


 もちろん、そのバランスとかは、その道のプロの声を聞きながら、適切に行われるべきですが。


 まぁ、日本という国が、どれだけ腐ってもレッテルの上では『先進国』に分類されることが、せめてもの救いでしょう。


 あと、ここまでの情報のソース、仕方なくルールに則って最低限は示しましたが、総じてその辺に転がっている情報です。詳しめなものも、外務省や農林水産省のホームページに行けばどなたでも閲覧可能なのものばかりですので、気になる方はそちらから確認をお願いします。


 あくまで『事実』や『データ』のことを話しているだけであって、『主張』や『意見』を流用しているわけでは無いので、ソース提示の必要性は高くても、義務はないはずです。


 このネット社会、SNS社会では、いつ誰がどんな嘘をどのようにどのくらい垂れ流しているかわからないので、「怪しいな」「本当だろうか」と思った情報は自分で吟味するしかないです。


 自分の身は自分しか守れません。


 ODA信長は、火の海から自身の命を守ることはできず、彼の野望は、本能寺にて潰えましたがね……


 おい明智ぃ!!


〈完〉



【最後に】

大変お手数ですが、もし可能であれば、二〇二四年五月現在の、BRICSの加盟国数を二秒以内に頭の中で思い浮かべていただけませんでしょうか。

もし、それが難しい場合、ODAとは何か、まだ理解されていないように思いますので、再度読み返していただくことをおすすめいたします。


大変生意気な物言いを、どうかお許しください。


加賀倉 創作

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