だいにじゅうわ 共依存

「お前なぁ!あんな部屋残して置いたら悪化するに決まってんだろう」

「…すみません」

珍しく智に怒られる奈々

写真でも撮っておきたい気分だ


「で、でもあの部屋は奈々のくれた愛なの!」

「それでもフラッシュバックには充分すぎるの」

決まづい雰囲気が流れた後、奈々は重々しく口を開いた


「あの部屋、見られたくなかったなぁ」

「ごめん、でもお前がやり兼ねんやつなのは知ってるよ」

智は奈々の頭を撫でて額にキスをした

「とにかく、奈々と部屋片づけてくるから。さゆちゃんはここにいて」

「わ、私も…」

「パニック起こす可能性が高いからね。ここにいてね。」

二人で部屋に行ってしまった



「なんで気づかなかったんだろう」

自分でも要因になっていると気づかなかった。

「さあね、でもこの部屋片づけたってパニックは治らないと思うよ」

「でも…」

智に抱きしめられる。久々の感覚に胸に顔をうずめた。

「言わなくていいよ。俺もお前のそばから離れれる気ないんだからさ、頼ってよ」

顔を上げたときふと首筋に目がいった

「お前、その噛み跡…」

「あぁ。さゆちゃんのだよ。大丈夫、手なんかだしてないよ」

もたれかかると智の心臓の音が聞こえる

「ごめん、迷惑かけて」

「ご褒美だけどー?」

笑う智の頭を叩いて作業を再開した


写真や髪も全部しまって戸棚に鍵をかけた

これで少しは頻度が下がればいいんだけど


「さゆ、おまたせ」

さゆはソファーで寝てしまっていた

「あぁこんな時間か。奈々、大丈夫か?」

「…もう少しいろよ」

にやりと笑って智はまた俺を抱き寄せた

「いいよ、辛いよな」


さゆに毛布をかけると

二人言葉もなく寝室に行った

久しぶりに手を握って、キスをして、噛んで、もっと、この気持ちが消えるまで噛んでくれ

さゆへの罪悪感と、疲れが癒される感覚と、このまま消えてしまいたい気持ちと、いろんな感情が混ざって、訳も分からず智を求めていた


智も前より激しかった

…こいつも嫉妬とかするんだろうか

最後まではしない。でもこれも性行為なのだろうか

そんなことを考えながら

罪悪感を抱えて朝を迎えた

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

蛇ときみ 平海ひなと @hinato_hirami

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ