mission 21 ツキノヒカリニテラサレテ
なんだあのバカでけえバケモノ!?いやそんなこと考えてる場合じゃねえ!この距離からじゃカグヤのもとまで間に合わないだろ!なにかないのか…?
「かぐやぁ!!」
カグヤを見つけピリカが大声で叫ぶ。
そんな声も届かず星喰いは徐々に口を閉じていく。
「あ…!」
そんな中、俺は出発前のアイリとの会話を思い出していた。
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「吉住くん。貴方、射撃の腕前が良いらしいですね。」
「へ?」
「聞きましたよ。若部さんから。弾道の管理が難しいと言われている空気銃を狙い通りに扱っていたと…。」
「いや…別に…。」
「そこだけは父親譲りなのでしょうね。」
「父親…?」
「いいえ。なんでもありません。とにかくこれを。」
そう言いアイリは俺に銃を1丁差し出してきた。
「なんすかこれっ!もしかして…伝説の最強銃とかですか…!?」
「いえ。銃自体はM500リボルバー…地球で取り扱われているリボルバーの中では1番大きいものにはなりますがそれでも一般的な軍用銃です。」
「そんなものでどうやって宇宙人を相手にしろってんだよ!?」
「特別なのは弾丸です。我々の科学技術で作ったこれらの弾丸は特別な力を持っています。例えばこのプラズマ弾ですが感電の性質を持っていますし、他にも宇宙空間で重力の影響を受けないなど非常に強力な武器となるのですが…。その分扱いが難しく今までこの弾を扱えたのは組織でもたった1人でした。あなたに託します。使いこなして見せて下さい。」
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「ちょっ!?あんた何立ち止まってんのよ!!」
急に走るのをやめた俺にピリカが驚く。
「勝手にしなさいよっ!別に私1人でも…!」
この距離なら狙撃は可能だと思う。けれど弾丸ごときで急所もわからないあの化け物に致命傷を与えられる訳がねえ…。ならやる事はひとつだ。
「カグヤさん…ちょっと痛いけど我慢してくれよ。」
「なにいって−−−」
ピリカが何か言いかけていたが関係ない。時間がねえんだ。
「“ブラストショット”!!」
銃声を轟かせ放たれた銃弾は一直線に星喰い…いやカグヤのもとへと飛んでいく。
そしてカグヤに直撃するかと思われた弾はカグヤから約40㌢程離れたところで爆発を起こした。
その爆風によってカグヤは大きく体を投げ飛ばされた。
「なにっ!?」
星喰いがカグヤの捕食を失敗したことを目の当たりにしたジールは驚愕の顔を隠せないようだ。
「さて…こっからどうするかだよなぁ。」
「あんた…そんなのあるなら最初に言いなさいよ。」
「ばかか?脳ある鷹は爪を隠すって言うだろ?」
「能無し猿は尻尾巻くの間違えじゃない?」
「うきぃいいーー!!」
「何やってんだ猿。」
後から駆けつけてきたヒヅメにも猿呼ばわりされる俺。
「君は猿だったのか?」
カーランは地球人を見たことが無いのだろうか。天然ボケで俺を猿と呼んでいるのだろうか。
「おい豚ぁ!なんでこいつ生かしてんだよ!」
「おいおい…それどころじゃないだろ?」
「ほんとあんたたちって騒がないと死んじゃう病なのかしら?」
「てめえっ!」
とは言えまじで状況はやばい。この化け物だけじゃ無く月の軍隊を相手に3人…カーラン入れて4人じゃ無理があり過ぎる。せめてあの化け物と対等に殴り合える奴が1人でもいれば…。
「星喰いっ!あの餓鬼どもを喰い殺せっ!」
「バオオオオオオオオオオオオっ!!!」
その時…宇宙の彼方から流れ星…いや1人の人間が星喰い目掛けて飛んできた。
「うおおおおおっ!!」
とんでもない衝撃をよそに後から一機の小型宇宙船が月に静かに着陸した。
「みんなっ!怪我はない!?」
「ひ、ヒナタ!?」
宇宙船から出てきたのはゴーランダ星で調査を続けて居るはずのヒナタだった。
「ふっ…。みんな僕がきたからには安心して欲しい。さあ!みんなで力を合わせて奴を倒すんだ!」
「ヒナタ!来てくれたのか!」
「ちょっとヒナタ!来るならもっと早くきなさいよ!野蛮人に囲まれて気がおかしくなりそうだったわ…!」
「野蛮人って俺も入ってんのか…?」
「ねえねえ僕のことは?」
「よしっ!助っ人も来たことだしみんなで力を合わせてあいつらをぶっ倒すぞ!」
「あんたに言われなくても!」
「待っていてくれ。カグヤっ!」
「漢見せる時じゃねえか。」
「よし!私も役に立たなくちゃ!」
「僕もさっき同じこと言ってたと思うんだけど。」
「いくぜぇ…化け物!お前の相手は俺たち化け物だ。」
俺の物語にタイトルなんてありません。 此花 @kirin1224
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