幼馴染がラブレターもらった⁉︎
猫の集会
え、待ってよ…
ヒューヒュー ゴーゴー
とても強い風が外で吹いている。
「風…強くない?わたし帰れるかな?」
ざっさざっさと揺れる遠くの大きな木を窓から眺めながら、幼馴染がつぶやいた。
「ユカ…どこに帰るんだよ…」
「ね!」
…
ねっ!って…
…
意味がわからない。
だって…ユカは今、自分の部屋からオレの部屋を覗きながら電話しているんだから、帰るも帰らないもないのだ。
そもそも帰っている状態なのだから。
うちの家とユカの家は、隣同士でオレたちの部屋は、お互いカーテンをしめなければめっちゃよく見える。
そしてかなり隣接して家が並んでいる…
なぜそんなにも土地ギリギリに設計したのか謎だ。
手を伸ばせば、握手も可能なのだ。
オレはそんなギリギリに設計した建築士もそれを承諾した親も疑問だらけだったけど、なによりそんなギリギリで建築した作業員がすげ〜と、感心してならない。
おっと、ついユカを放置してしまうところだった。
「あのさ、電話してきた要件って?」
「あぁ、暇でしょ?これからそっちいくわ」
「えっ」
まだいいとも言っていないのに、よっこいしょとオレの部屋のベランダに到着するユカ。
…
「風強いんだし…落ちたらどうすんだよ。普通に玄関から来た方がいいんじゃないの?」
と、アドバイスするものの…
「時短」
と、あっという間にオレの意見は却下となるのでありました。
風が強いから帰れなくなるって心配は、どうしたんだよ…。
みずから大冒険じゃねーか。
仕方なくオレはベランダにいるユカを招き入れた。
「んもー、なんでベランダで洗濯干してる途中にしめだすかなぁ?ほんとやめてね」
と、ユカの小芝居がいきなり始まった。
「しめてねーし…。てか、ベランダに洗濯物なんか干してないんっすけど?」
と正論をはこうものなら、
「マジメかっ⁈」
と突っ込みをしてくるユカ。
そして当たり前のようにゲームの準備をせっせと始めるユカなのでありました。
そして、当たり前にゲームをしているといきなりユカが、
「えっ…待って…明日って…月曜日の可能性高くない?」
なんて言い出した。
「まぁ、今日が日曜なんだし…当たり前にそうなるよね。」
「えー…っ、いや待って‼︎間をとって木曜日になる確率も…」
「ねーよ」
…
「そう…なんだ」
「うん。そもそも木曜日は、間じゃない気がする。」
「へー…そっか。」
「そうだよ…いや、間なのか?…わかんなくなってきた…」
…
「ってかさー、なんでかなぁー…だれか明日月曜日来るからねってなんで教えてくれなかったのかなぁ…」
なんてうとましいめでオレに訴えてくるユカ。
ユカは、たまに曜日を忘れる…というか…今が何年で、自分が何歳になったかすら忘れているのだ。
まぁ、忘れるというか…無関心が強すぎるのだろう。
無関心が強い…
…意味がわからないけど、軽い人生の迷子だ。
「普通の人は、日曜日の次は月曜日って無意識に覚えてるもんなんだよ」
と、教えてあげた。
すると…
「へー、アップデートはや…っ」
と、言いながらもゲームに没頭する始末…
たぶんもう、明日月曜日ってことすらどうでも良くなっていることだろう。
…と思っていたんだけど、ユカがいきなりびっくり発言してきたじゃないか‼︎
…空いた口が塞がらないとは、このことなのだろう。
だって、ユカ…
「そういえば月曜日告白されるんだった」
なんていうわけですよ‼︎
「は?誰にだよ⁉︎」
と慌てて聞いてみるもオレの言葉なんて聞いておらず…
「月曜日って…いつの月曜日だろ?第一?それとも第三?」
と、不燃ごみの日確認みたいになってんじゃん‼︎
「おい‼︎しっかりしろ‼︎」
「え?…あー、いきなりコウタが目の前にくるからゲームオーバーしたじゃん…しっかりするのは、コウタだからね」
と、ゲームを再開しようとするユカ。
「待ってユカ」
「え?」
「告白の話…詳しく聞かせてもらおうじゃありませんか。」
「なんで?」
「なんでって…そりゃ…幼馴染だし?色々心配なんだよ。で、ユカに告白するのってどこのどいつだ?」
「ドイツ人ではないよ」
…
「そんなの知ってる‼︎で、だれ⁉︎」
「知らない。手紙が入ってただけ」
と、手紙の写真を見せてもらった。
写真…とってんだ?
⁉︎
え…
オレは手紙をみてびっくりした。
だって…だって…
告白日 第二月曜日。
開催場所 音楽室前。
参加人数二人。
と書いてあったからだ。
…なに?
え?
招待状?なの?
意味わかんねー…
「ユカ…いくの?」
「うん。告白どんなのされるか知りたいし。実は自分…〇〇なんですっていう〇〇が気になるじゃん‼︎右足から湯船に入りますとかかな?もしくは…」
「告白って普通…あれじゃね?」
「どれ?」
「その…す……」
「酸っぱい⁉︎」
「いや…す……」
「酢飯が好物です⁉︎」
「違くて………⁉︎って…待って‼︎」
「え?」
「これ、ユカ宛じゃなくね?ユミさんへ、ってなってんじゃん」
「あはは、マジか?ユミちゃんにじゃん。明日ユミちゃんに渡さなきゃだ」
とまた呑気にゲーム再開しようとした。
告白の相手がユカじゃなくてよかったと心底思った。
…
「待ってユカ」
「え?どんだけ待ってって…わたし待てって言われて待てるお利口さんじゃないし!そもそも犬じゃない挙句にわたし猫派だし」
…
「好きだ」
オレは思わずユカを抱きしめていた。
「あのー…ゲームが?好き?…なの?それとも…わたしを猫と勘違いしてる?」
「ちげーよ‼︎ユカが好き。さっきユカが誰かに告白されるんだって思ったら…胸騒ぎがしてさ…、だから…ずっと言ってなかったけどオレ…ユカが好きなんだ。」
と思いきって打ち明けた。
するとユカも、
「うん。わたしも好きかもしれないし、そうじゃないかもしれないし、もしかしたら…なくもなくないよ?」
と返事をくれた。
「ややこしい…わかんねーよ…」
「ふふ、わたしもわかんなくなった。でも…簡単にいうとこういうこと」
チュ〜♡
⁉︎
ユカにキスされました‼︎
いきなりの展開‼︎
「ユカ〜♡」
オレもお返しのチュ〜♡をした。
オレたちは、誤ったラブレターのおかげで突如、結ばれることができました‼︎
ありがとう。だれか知らんけど…
とりあえずキミの健闘を祈る♡
おしまい。
幼馴染がラブレターもらった⁉︎ 猫の集会 @2066-
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