GO!死地、後。

はるむら さき

詠むしかない。

五七五 耳慣れた音を ここに描く。


それくらい 今の私が できること。


放課後だ 私のすべてが 狂ったの。


帰り道 自分の影と ふたりきり。


後ろから 誰かの気配と 靴の音。


振り返る 余裕さえなく 早歩き。


近くなる どんどんどんどん 距離縮む。


家の前 あと数メートル 帰る場所。


暗闇と 暗闇暗闇 笑う声。


じんわりと 滲む光に 目を覚ます。


動かない 指先さえも 動かせない。


ここはどこ 私はいったい どうしたの。


見上げれば 白い天井 黒い部屋。


見も知らぬ 誰かが私に 微笑んだ。


こんにちは ご機嫌いかが お客様。


ああそうか これは夢だと ひとりごつ。


現実に こんなことが あるはずない。


ケタケタと 笑う声には 姿なし。


中空に 大きな牙が 見え隠れ。


いつの日か 聞いたことが ある話。


有名な 誰かが書いた 物語。


お客様 そろそろ準備は いいですか。

 

もういいよ それではこの世と お別れだ。

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