第8話 G310R一人旅 蔵王エコーライン越え
同僚にBMW好きの方がいて、時おりまたがせてもらっていた。だが、中型免許しかない私は大型バイクに乗れない。そこに出てきたのがG310Rの登場である。ドイツ製ではなく、インド製だという。と言ってもBMWであるのには違いない。お店でまたぐと、つま先立ちで何とか乗れる。短足の自分でも乗れるBMWが出てきたと思うと嬉しく思っていたら
「4cmローダウンできますよ」
という店長さんの一言で即決してしまった。初の外車購入である。
そこで、最初に選んだのが蔵王エコーライン越えである。
8時にふもとの遠刈田温泉を出発。大鳥居を抜けてエコーラインに入る。前走車がいないと自分のペースで気持ちよく走れる。滝見台では停まらずに、過ぎたところの尾根道で一時ストップ。ここから見える蔵王の景色がきれいだ。今日のツーリングの無事を祈る。そこからは、気持ちのいいカーブが続く。樹林地帯を抜けると低木地帯に入る。火山の兆候が見られる。蔵王は休火山で、江戸時代に噴火した記録が残っている。また噴火してもおかしくないが、その兆候はない。
9時、刈田岳駐車場(標高1728m)にバイクを停める。そこから少し歩くだけで蔵王のお釜が見える。今日は瑠璃色をしている。このお釜を見られる確率は5割。ふもとが晴れていても、山は雲がかかっていることが多い。今日は恵まれている。蔵王というと山形のイメージが強いが、お釜は宮城の領分である。でも、名物の玉こんにゃくは山形である。この際、どっちでもいいと思うが、やたらこだわる人もいる。バイクを走らす前に西を見ると月山がきれいに見える。蔵王の雪はとけても月山には雪が残っている。まさに絶景だ。
下り道は宮城側よりゆるやかなカーブが続く。スピードに要注意だ。
11時、ふもとの13号線上山市に入る。今は初夏だが、真夏にGB400でこの道を走った時は熱地獄だった。40度近い気温とエンジンの熱で信号待ちをしていると気持ち悪くなった覚えがある。盆地特有の蒸し暑さだった。
しばらくして金山峠に行く県道268号線楢下高畠線に入る。一度右折して、高架橋をくぐって、左の山方向をめざす。
20kmほど気持ちのいい道を走り、分かれ道を左折。金山峠に入る小道に入る。中央車線がない1.5車線分の道だ。周りは樹木だらけで道には落ち葉がたくさん。見通しも悪いので、スピードの出し過ぎは要注意だ。対向車が来たら左に寄って、譲ることをすすめる。
暗い道を左右に何度も曲がりながらおよそ5kmで金山峠(標高623m)に到着する。何もない峠である。ここから宮城県に入る。ここは旧羽州街道の一部で、宿場町を結ぶ峠であった。近くに水芭蕉の生息地がある。水のきれいなところである。ここからは見通しのいい下りの道になる。日差しをあびてバイクを走らせるのは気持ちいい。
12時半、手打ちそば屋さんに入る。七ケ宿はそばがおいしいところである。近くに滑津大滝がある。滝つぼまで降りることができるが、今回は駐車場から見下ろすだけで終える。三段の滑り台のような滝である。
13時半、七ケ宿関から左に入り遠刈田温泉に行く県道51号線に入る。途中、平和祈念公園に寄る。ここは近くの不忘山にアメリカ軍のB29が激突したところだ。そこを見上げる場所に平和を祈る公園が造られたのだ。激突場所に向けて手を合わせる。県道51号線は適度なアップダウンと、大小さまざまなカーブがある。ライダーには楽しい道だ。ただ舗装面はほめられたものではない。冬場の大雪で舗装は傷んでしまうのだろう。デコボコに注意だ。白石市三住で国道457号線に入る。私は県道51号線と国道457号線を宮城蔵王高原ラインと勝手に呼んでいる。ふもと側のコスモスラインと平行して走っているので、二つのラインをつないでミニツーリングをすることが多い。私のお気に入りのコースである。
牧場の香り(田舎の香水)をかぎながら、遠刈田温泉までいく。左に蔵王連峰が見える。秋山沢の駐車場から見る蔵王がきれいだ。
15時。遠刈田温泉着。日帰り温泉で体をあたためる。蔵王のお山に感謝である。
今回のツーリングデータ
スタート時間 8時
到着時間 15時
走行距離 128km
消費燃料 6L(推定)
※G310Rとは2年間の付き合いとなった。車検を通そうかと思ったが、左手のしびれが気になっていた。1時間ほど乗ると左手にしびれを感じていた。個人的なことか、個体の問題か分からないが、PCX160が出るタイミングで買い替えを決めた次第。
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