或る夜の戯
紫鳥コウ
或る夜の戯
解剖学的な見地を脱色して自我を不透明で異種混交的な慾望の生産機械として
梅雨の初め、高架橋の下で雑巾のように
景子は、頬杖を突きながら寒天を噛んでいるような顔をして、その戀は暗号化しなければならないと、倦怠を衛星にした
レ点の打っていない漢文を読解するよう強いられ、座標平面を
* * *
双子の日輪は分泌液を窮乏させて、陽太は深い眠りに堕ちていき、
ベッドルームから抜けだしトイレットへ向かう途次、
麦茶をコップに
ふと、亡き母の遺愛のミシンのことを想った。しかし、それはともかく、
尚、彼が、自分の性癖を強いたことに対して面謝してくるときには、噴き出しそうになるくらい滑稽を感じずにはいられなかった。何事も
性交の
何時の間にか半勃起している彼のものを、処理するか打ち捨てるか迷うところではあるが、その灯台をジッと見つめながら、沖合に漂い続ける一艘の船となった方が、反藝術的であると思い直し、臭気の漂うベッドルームを換気することなく、どうか景子がくたばって
〈了〉
或る夜の戯 紫鳥コウ @Smilitary
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