善悪の連続階調

加賀倉 創作

善悪の連続階調

【注意】この文章には、『スター・ウォーズ』シリーズの盛大なネタバレを含みます。知りたくない方は即座にハイパースペースジャンプしてください。



 どうも、おはこんばんちは。


 自分をジェダイの騎士と信じてやまない凡人、加賀倉です。


 今日は『性善説』と『性悪説』についてのお話です。


 で、いきなり! ヨダーンなんですが……


 いやぁ、シスの暗黒卿ってヤバいですよね。


 ダース・ヴェイダーとかは特に。


 赤く光る剣を振り回して、遠隔で人を締め殺したりするんですよ。


 でも彼って実は、元々私と同じ、ジェダイの騎士、光の使者だったんですよね……


 え? そんなわけがないって?


 そうお思いになる貴方は、今すぐ『スター・ウォーズ』オリジナル三部作並びに新三部作を鑑賞してください。


 と言うのは、ただのイントロです(それはそうと、強制はしませんが絶対に見てください)。


 で、意外とこれ、今日の話題にめちゃくちゃ関係してます。


 何せ私は、『スター・ウォーズ』シリーズから、「『善』と『悪』とは何か」を学んだからです。


 何を隠そう、『スター・ウォーズ』は私にとって、バイブルなんですよね!!


 ジョージ・ルーカスは神!!


 すみません、一旦スター・ウォーズの話から離れます。取り乱しました、すみません。


 というわけで、そろそろ『性善説』と『性悪説』について論じて行こうと思います。


 あの、最初に、あることを、ドーンと突きつけてしまいます。


 覚悟はよろしいでしょうか?


 行きますよぉー?


 そもそも……


 『善』と『悪』なんてものは……


 存在しません。


 ……。


 は?


 はい、イミフイミフ、意味不明那由多不可思議無量大数です。


 『善』も『悪』も存在しない、とは何を意味するか。


 『善』も『悪』も、どんな賢人の知恵を持ってしても具体的な定義ができないから、この『性善説・性悪説』論争自体に、落とし所がないんです。


 言い換えれば、『説』うんぬんの話をする前に、それを修飾してる言葉、『善』と『悪』という前提条件があまりに不安定すぎるんですよね。


 まだ説明が足りないと思うので、詳しく説明します。


 例えば、『ありがた迷惑』という言葉がありますよね。


 これは、意味が真逆の言葉がひとまとまりになっていて、矛盾している、カオスな状態です。


 でも、言葉として成立しています。


 それに、『ありがた迷惑』がどういった場面で使う言葉なのかも、明確です。


 じゃあそれって結局、『ありがた』なの? 『迷惑』なの? どっちなんだい!


 あまりに深く考えすぎると、ゲシュタルト崩壊してきそう……


 でも、次のことを受け入れていただければ、合点がいくはずです。


 『善』と『悪』というのは同時に存在しうるものなんです。


 『善』と『悪』の共存ともいうべきこの現象には、また別なケースもあります。


 想像してみてください。


 貴方はSという企業の平社員です(という仮定です)。


 職場に嫌な上司がいるとします。


 仮に、その上司がモラハラなオジサマだとしましょう。


 その上司には家族がいたりしますよね。


 奥さんがいるかもしれません。


 奥さんは、貴方の大嫌いなモラハラオジサマに惚れて、ご結婚なさって……


 お子さんがいらっしゃるかもしれません。


 それに休日には……


 お子さんに一生懸命野球を教えているかもしれない。


 ボランティアをすることに汗水を滝のように流しているかもしれない。


 ひいては、孤児院を運営しているかもしれない。


 あ、良いように考えすぎましたね。


 (これが行き過ぎると、性善説になる訳ですね)


 本音を言うと私自身、性善説という素晴らしい宗教を信じたいと思っています。が、『悪』とやらに裏切られた場合に余計なダメージを受けるリスクを恐れて、棄教しました。でも本当は踏み絵を踏みたくないんです、私は(切実)


 で、何が言いたいかというと……


 結局、全ては主観。


 今、私がこうして論じているのも主観です。騙されてはいけません! 私は詐欺師かもしれません!


 冗談です、少なくとも詐欺師ではないです笑


 あなたの知らないところで、善は悪だったり、悪は善だったりするんです(やむを得ないので『善』と『悪』の二元論を使いますね)。


 一度何かを『悪』だとか『善』だとか決めてかかってしまうと、いろんなものに善悪のレッテルをペタペタ貼っている内に、いずれは綻びが出て、矛盾が生じます。


 何が真実なのかわからなくなって、誰も、何も信じれなくなってしまうような気がするのです。


 あくまで、局所的な出来事や関係においては、あの人は私に悪事をはたらく、私にとって悪魔のような存在だ、などとするのは、まぁ、いけないことではないでしょう。


 しかし、一般論として、誰から見てもあいつは悪だ、なんて誰かが言う権利はありません。


 この人は他の人にとっては正義なのかもしれないけれど、私とはタイプが違う正義なので、関わらないことにしよう。


 それで良いんです。


 この人、ここは考え方が合わないけど、また別なこっちの方向性では面白いから、関わっていたいな。


 それも良いんです。


 この芸能人、昔こんな不祥事であんなことしでかしたのか、でも今は反省もしてるし、◯◯っていう芸には秀でてて面白いから、応援しよう。


 それもまた良いんです。


(もちろん、貴方が誰かから具体的な被害を被っている場合は、ルールに則って、そいつをボコボコにしちゃってください♪ 我慢しちゃいけませんよ)


 具体名は伏せますが、こんなのもありますよ?


 某パンの妖精も、ある人からは、ばい菌をやっつけるヒーローかもですが、別の人が見れば、逮捕権もない自称自警団員で、子供たちに消費期限不明のパンを配り与えている不審者です。


(私は餡ぱんのアンチではありません。むしろ大好きです。餡ぱんをたくさん摂取して育ちました。不審者というのは、あくまでそう疑われる可能性があるかもしれない、という話です。)



***



 『性善説』と『性悪説』。


 ほとんど『善』と『悪』というもっと根本の話になってしまいましたが……


 論点をずらした、という気はしてませんね、全然。


 まぁ、『性善説』も『性悪説』も、世間話というか、小話程度なら、面白い話題であることには間違いないので、考えてみるのもいいんじゃないかと思います。


 あと、単にお互いの考え方をシェアしよう、という場なら、もちろん良い題材でしょう。


 自分にない発想、立場を知るのは、世界平和への第一歩ですからね。


(スケールの飛躍がえげつないことをどうかお許しください)


 でも、いわゆる「ディベート」的な相手を納得させる議論の場で『性善説』『性悪説』を語ってしまうと、結局話者同士の善悪に対する認識のズレを解消しようがないので、堂々巡りになってしまうと思います。


 それにそもそも私は、善悪の話に限定せずとも、物事を極端な二元論で考えてしまうのは、やむを得ず何かをわかりやすく表現する必要がある場合を除いては、本質を欠く浅はかな行為だと思っています。


 だって、ある人や物事を説明しようと思って筆舌を尽くしたとしても、完全に、百パーセントそれらを描写することはできないんですからね。


 曖昧でも良いんです。


 それをありのまま受け入れれば良いんです。


 言葉にはとてつもないパワーがあると信じていますが、言葉にはまた、限界があります。


 言葉は、意味を成す範囲で、賢く使う必要があるでしょう。


 自分にとって何が善なのか、悪なのか

 その、自分が善と思うもの悪、と思うものが、他人にとってはどう映るのか

 結局全部主観なんです

 考えたって答えは出ないんです

 善悪なんて二元論は捨てちゃいませんか?

 

 生きていれば、回避しようのない、善悪の判断を迫られる場面があるかもしれません。


 心苦しくも、立場上、善悪を決めなければならない。


 そんな時は、もはや善悪なんてフィルターを通さなくて良いんです。


 まさにその時こそ、『考えるな、感じろ』です。


 つまりフォースを使うんですね(スター・ウォーズの話はもういらぬ)。



***



 最後に。

 

 強いていうなら、善悪はグラデーションです。


 しかもそれは、桃、赤、橙、黄、緑、青、紫と、七色の虹のように、先の予想のつくような変化はしません。


 もっと複雑な、マーブル模様のようなグラデーションです。

 

 その絵を、頭の中で思い浮かべてみてください。




——アメイジングなイメージングタイム——




 貴方の頭の中に浮かんだ絵を、言葉で、他人に、原稿用紙に収まる分量で、正確無比に、伝えられますか?



 ……。



 だから私は、『善』と『悪』を捨てた。

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