「…あ、いや!何でもない!ちょっと知り合いに似てたものだから」

「お知り合いですか?」

「うん…でも他人の空似なんてよくあることだし、本当に気にしないで」

 私が一度引いたことで悪気がない事が分かったのか、彼女は自ら突っ込んできた。

「彼、○○出版社で働いてるんですけど、サクラさんのお知り合いとは違います?」

「え…い、いや、そこです。」

「じゃあ、同じかもしれないですね!ちなみにお名前は?」

「葉山さんと言うのだけれど、」

「まさに同じですよ!えっ、ヒロキさんとお知り合いだったんですね!なんかサクラさんに運命感じちゃいますよっ」

 …彼女は心底お人よしのようだ。単に私と葉山ヒロキが知り合いなだけだと思っている。

「…いつからお付き合いしているの?」

「ん~3年位前ですかね」

「そっか、」

「…何か、良くない事でもありますか?もしかして、サクラさん占いとかできちゃう人だったり⁉」

 何を思ったか、私が深刻そうな顔をしている理由を”占いで2人の相性が悪いとでた”という解釈をしたらしい。ここまで鈍感に人を信用してしまうなら、ヒロキの不倫に全く気付いていないのも納得だ。

「占いができる訳じゃないんだけど…私が知り合いなのは、葉山ヒロキさんじゃないの、」

「え?じゃあなんで、」

「…葉山ヒロキさんは、私の友人の旦那さんなの」




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