「あっサクラさん!」
「お待たせっ」
平日のランチ時に待ち合わせをしていたのは例の調査で知り合ったマナ。実は今日は2回目。2週間ほど前に会う約束をしていて、その時は夜ご飯を食べに行きそのまま解散だったのだが、今日はランチの後にフェイクフェイスのニューシングルをフライングゲットをしに行くことになっている。依頼人である葉山さんへの中間報告も終え、更にはマナの信頼もかなり得てきたので調査も少し進展させようと思っている。
「SNSで見てからここずっと気になってたんですよね~」
「えっ、有名なの?」
「話題にはなってましたよ!甘いものとか好きですか?」
「パフェとかは結構好きよ」
「じゃあぴったりです!行きましょっ」
マナが予約していてくれたレストランはカジュアルなイタリアン。店内もメニューもお洒落で興味をそそられる。私はパスタを、マナはグリルチキンセットを注文した。
「ん~!美味しい!」
「最高ですね、デザートの分のお腹も空けとかないとっ」
話題になっているだけあって中々美味しかった。お酒を飲まない分胃袋に空きがあるので、パフェまでしっかり堪能した。話を進展させるのはもう少し先…
「平日だから思ったよりも人少ないですね」
「本当、この前のショップの時みたいだったらどうしようかと思った~」
実を言うと私は人混みが大の苦手だ。この間のショップの時は家に帰ったら電池切れみたいに寝たくらい。
「シークレットのアイテム、どこかのカフェで開封しませんか?」
「良いね!そうしよっ」
先着で貰えるシークレットアイテム。今回の目当てはこれだったのだ。無事にショップでCDをゲットし、近くにあったカフェへと駆け込んだ。シークレットアイテムは10種類もあるらしく、マナは何が出るかとても楽しみにしていた。
「サクラさん何入ってましたか?私缶バッチとステッカーでした!」
「えっと…あ、私も缶バッチだ!あとミニ巾着」
彼女は推しのステッカーが当たった事が嬉しかったのか、静かにはしゃいでいる。
「マナさん家にフェイクフェイスのグッズとか置いてて彼氏に何か言われないの?私この前のショップの袋そのまま置いてたらたまたま見られちゃってめっちゃ質問攻めされたよ…」
「そうなんですか⁉私は、理解してもらっているので堂々と箪笥の上に飾っていますね」
「いいなぁ。どんな人なの?」
「ん~…とにかく凄いやさしいんです。年上なのもあって大人の余裕って言うか、包容力が落ち着くんですよね」
ここからが本番。どんどん詰めていく。
「えぇっ写真見たい!2ショットとかないの?」
「あるにはありますけど、恥ずかしい…!」
「恥ずかしがることないよ~っ」
「そうですか…?はい、」
「ありがとうっ。本当だ、優しそうな…、」
「…サクラさん?どうかしましたか?」
私が表情を曇らせたことに気づいたマナは心配そうにのぞき込んできた。これは成功の予感。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます