あまりにもホタテが美味しすぎてラオの分までかっさらいそうになったので、ひとまずハイボールで気分を落ち着かせる。
「可愛い顔しておじさんみたいな声出さないの」
「堪能してるだけじゃん。大将の腕が良すぎるのが悪い」
「これはこれは、嬉しいお言葉で。こちらの器おさげしますね」
すでに空になってしまったホタテと造りの器を下げてもらい、目の前へまながつおの西京焼きとしぐれ煮、粒の立った白米がおかれた。もうこの匂いって言ったら悪魔だ。
ホロホロとしながらしっとりとした白身に、甘めの西京味噌がよく染み込んでいて最高に美味しい。しっかりと脂ものっていて、口の中で水分と脂の洪水が起きそう。
「めちゃくちゃ美味しいです」
「うわ美味!大将ヤバいっすよなにこれ」
「ありがとうございます。その味噌もかなりいいもの使っているんで、味には自信あります」
もうアルコールの歯止めが利かない。次のビールで終わりにしようかと思っていたけど、もうちょっと飲もうかな。
「ごちそうさまでした!また来ます」
「ごちそうさまでした!」
「ありがとうございます、お待ちしております」
地下道に出ると、狙ったかのようにラオが肩に手を回してくる。夏場は私が厚いって嫌がるから、冬になるとこれでもかという程くっ付いて来る。
「今日家行っていい?」
「え、来ないつもりだったの?」
「来ないつもりなんかなかったです行かせてください」
ルンルンになったラオが家に着いた途端
「サクラ何これ⁉」
と騒ぎだしたので、何かと思ったら…
「あぁこの前買った」
フェイクフェイスのグッズでした。
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