『もしもしサクラ~?今どこ?』

「もうナカマ食堂ついてるよ」

『早⁉待ってすぐ着くから』

「早くお酒飲ませて~」

 ようやくラオと約束したナカマ食堂の日。仕事終わりの身体に早くアルコールを流し込みたくてうずうずしている。大将にはラオが到着したらジンジャーエールと生ビールすぐにお願いしますと先に頼み込んでおいた。

「ごめんお待たせ」

「いいよ本当にさっきついたとこだったしっ。あ、ありがとうございます」

「早いっすね、ありがとうございます。じゃあ乾杯~」

  …ん~染みる。1日の終わりに飲む生ビールは何でこうも美味しいんだろうね。

「今日ね、まながつおを食べて欲しくて誘ったの」

「美味かったんだ?」

「もうめちゃくちゃ。だから予約しておいた。ねっ大将」

「えぇ。今日はかなり身厚なものが入りましたよ。本日はどのようにしましょう?塩焼きにお造り、唐揚げ、あとは西京焼きができます」

 西京焼き…!

「ふはっ、サクラ感情駄々洩れだな。西京焼きと造りでお願いします。後はお任せで!」

「あいよっ。ではお先にきゅうりとタコの酢の物をどうぞ」

「あざっす」

 酒の肴ができたおかげでさらにビールが進んでしまう。タコもキュウリも大好きなので、手が止まらない。

「サクラ最近忙しそうだな?」

「ん~まぁね。長めの調査が入ったから、しばらくはバタバタするかも。私よりもラオの方が引っ張りだこじゃん」

「俺は一瞬で終わるからそれほど会社にいる訳じゃないよ」

「ふ~ん。うわぁすっごいいい匂いする…」

「お待たせしました、まながつおとキハダマグロ、つぶ貝のお造りです。こちらはホタテのバター醤油焼きです」

 造りより先にホタテに目を奪われてしまった…これは、危険なにおいがする。

「…これはやばい。大将ヤバい」

「それは誉め言葉と受け取っても?」

「誉め言葉でしかない。美味しすぎる。ラオ、早く食べろ」

「何で命令…?食うけど…うっわやば、」

「でしょ?」

 表面だけを香ばしく焼き上げられたホタテはレア状態で、バターと醤油が焦がされたタレが絡まって最高に美味しい。ホタテってこんなに旨味あるの?生より焼いた方が断然美味しいんだけど?このホタテの繊維。これが意味も分からず最高過ぎる。

「大将、ハイボールお願いします。濃い目で。」

「あいよっ」

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