「サクラさんおはよ~。今日も相変わらず早いね~」
「おはようございます」
斜め前のデスクに腰を下ろしたのは3年ほど先輩のシュリさん。先に言っておくと、私はこの人が苦手だ。老けて見えるほどにケバイ化粧と派手な髪型、露出の多い服装はまず探偵には向かない。私も大人しめか派手で言えば派手の分類だけど、まだ常識はわきまえているつもり。仕事の時はちゃんとカジュアルスーツで来ているし、髪の毛もまとめている。
…まぁでもあれだけ派手な格好が染みついていると、その手の仕事はやりやすそうだけどね。だから彼女はいつもキャバクラの潜入なんかに回されている。
「シュリさんも早いですね」
「ん~?私は今終わった所なの。報告書だけ書いたら今日はもう帰るわ~」
なんでもクラブの仕事に潜入していたみたいで朝帰りなんだとか。この人も大変だなぁ。
「あ、ねぇサクラさんってナカマ食堂行ったことある?」
「たまに行きますけど、どうかしたんですか?」
「どうって訳ではないんだけどね~?ちょっと妙なうわさを聞いたから、知ってるかなぁって思って。ああいうお店の事だから、気になっちゃうじゃん?」
妙な噂…
「特にそういう事は聞いたことないですけど、あまり深いれすることはお勧めしませんよ?」
「どうして?」
「どうしてもです。これはこの世界で生き残っていくための忠告だと思って聞いておいた方が良いですよ」
「…ふ~ん。まっ、よくわかんないけどいいやっ」
ナカマ食堂は、私達探偵と殺し屋の憩いの場であり、お互いが安全に生活することが約束された中継地点でもある。
そこに集うものたち同士での争いや詮索は禁止とされている。こんな世界だから約束を破ったら何が起きるか分からないので、皆静かにそれを守っている。表向きは3つのルールなのだけれども…
それとは別に、”暗黙のルール”というものがある。
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