「ラオさん着きました。ここから10分位南に歩いたとこから地下に入って貰えればターゲットに鉢合わせせずにはいれるはずなので。終わったら連絡してください、処理班が向かいますので」
「りょーかい」
「あとしつこいようですが、インカムは外さないようにしてくださいね?」
「いやいつも外すつもりはないんだって。勝手に外れちゃうんだよ。まぁ気を付けるけど…じゃあまたあとで」
「お気をつけて」
車係の後輩に近くまで送ってもらい、地下へと向かう。うわ…今になって腹が減って来た。サクラに早く行けって追い出されたから朝飯に買っておいたパンを食べそびれたことを思い出した…本当に、今回のターゲット覚えておけよ、
「…人のにおい」
しばらく歩き進めた所で、人の気配を感じ取った。10人…いや、やっぱり20人近くいるな。時間も15時を過ぎていたし、全員集合してるかな。夏が近づくと、俺の戦闘服はかなり暑い。全身ビニール製の服で身を隠し、皮膚が見えているのは目の周りと耳だけだ。熱中症にならないように気を付けないといけないけど、熱中症の危険が迫る前に終わらせればいい話だ。話し声が鮮明に聞こえるほどに近づいた。目視できる範囲でも13人はいる。侵入者を知らせる警報装置が目の前にあったので…
とりあえず鳴らしてみた。
「おい誰かいるぞ、探せ!」
「逃げる前に捕まえろ、」
口々に上の立場らしき人たちが騒ぎ立てている。所々から物騒なものが見え隠れするし、中々にガタイのいい奴もいる。あの肩幅、俺の倍くらいはあるんじゃないか…?それなりに筋肉質だと自分でも思うが、あんな奴につかまってしまえばどこかしらの骨が悲鳴を上げるだろう。
「どこにいる…1人だと?どういうつもりだ、この人数相手に勝てるわけないだろ」
監視カメラを見たのか、俺が1人で来たことがばれてしまった。
「さっさと出てこい!」
「はぁいはいそんなに騒がなくてもここにいますよ。俺だってこんなところに長居したくないんです、さっさと終わらせましょ?」
出てこいと騒ぎ立てられたため、隠れていた物置から身を出した。12345…18人か。音の感じからしてこれで全員だ。とりあえず右側の強そうなやつから倒すとして…
「…おいっ…⁉今イメトレしてたのに先に手出すとか反則だろ!」
1回瞬きをした隙に左にいた弱そうなやつが銃の引き金を引いた。
「…お前、今弾をよけたのか、」
「え?あぁまあちょっと運動神経が良いんでね。じゃあ始めましょうかっ」
頭の中で整理が完了したので、イメトレ同様右側から遠慮なく攻めていく。
「ぅらぁあ!!」
「…おっとそこに入ってきたら危ないでしょっ…と」
「ぅっ、」
次から次へと出てくるターゲットたちを2人ずつ仕留めて行く。相手はみな銃か素手で殴りかかるかの2択らしい。
「くぁっ…⁉」
「あ、すみません昨日研ぎすぎちゃって、」
毎日次の仕事の為に丁寧に研いでいる。俺の武器は柳包丁だ。ふくらはぎに木のさやを括り付けておけば、他人が見てもまさか包丁を持っているなんて思わない。今日は大人数だったので一気に何人か仕留められるように刃渡りが30センチ近くあるものを選んできた。入念に研いで磨いてきたので、変に動かさなくとも首元に少し当たれば人は死ぬ。
「あぁあぁ、そんな風に手でよけたらダメだって。手、どっか行っちゃったよ」
「…⁉」
俺の研いだ包丁は、骨なんて簡単に切れる。手で触りでもしたらあっという間に切断されてしまう程だ。
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