エピローグ
「学校ちかれた……」
『リオンおかえりー』
『女の子になったまま通う学校はどうですか?』
「なんかもういろいろ恥ずかしいです……」
一つ目のダンジョンクリアをした後。二つ目のダンジョンからは、本当にかなりペースダウンした。土日限定の探索だね。ちょうどいい感じだ。
ボクは、高校に復帰した。復帰したんだけど……。結局、男には戻ってない。あのバカは戻す気がないみたいで、このまま通うことになってしまった。
幸い、今のボクは知名度だけは無駄にある。誰にも疑われなかったんだけど……。なんか、女子連中がまとわりついてきて、とてもうざい。ちっちゃくてかわいー、だって。正気に戻れ、そのかわいい女の子は男だ。自分で言ってて悲しいけど。
クレハちゃんは、平日、つまりボクが学校に行ってる間は、ダンジョンに潜る地球人への指南役として雇われてる。子供を働かせるなんてどうなんだっていう話はあったみたいだけど、ダンジョンが増えた以上そうも言ってられないということで呼ばれたみたい。
無理矢理だったらボクも抗議したかもしれないけど……。クレハちゃんは結構楽しんでるみたいだし、いいかなって。ちなみに休日は、よく一緒に過ごしてる。笑顔に癒やされてます。
バーバラさんは魔法の指南役として、やっぱり国に雇われてる。魔力の使い方とかを教える役目。大事だね。休日は姉さんと一緒によく遊びに出かけてる。
魔女さんは、実は普通にダンジョンで仕事中。いや、アスティはあんなこと言ってたけど、やっぱり管理人は必要みたい。でも日中仕事して、夜に帰ってくるという生活サイクルで安定してる。
夜はみんなでご飯を食べてるけど、魔女さんはいつもちょっと恥ずかしそうだ。母さんに気に入られていて、よくお話ししてる。
そして。あのクソ女神だけど。
ボクの高校に入学してきやがった……!
「うふふ、制服姿のリオンさんもかわいいですねえ」
「やめろお! くっつくなあ! なんで入学できてんだよぉ! 先生!」
「くっ……! すまない! あんな、金塊を山と積まれては断れず……!」
「金か!? 金で買収されてんのか!? 恥ずかしくないのか!?」
「あと単純に敵に回したくない」
「くっそ何も言えない!」
こいつマジで何やるか分からないからね! そりゃ敵に回したくないよね! 知ってた!
「はあ……はあ……。これが……リオンさん成分……!」
「うぬああああ!」
マジで怖いよお! ボクの首元に顔を近づけるな! 臭いをかぐな! こわい!
そんな感じで、ボクはとても楽しい日々を過ごしています……。楽しい……楽しい、のか? これ。
誰かこのクソ女神をどうにかしてくれませんかねえ……!?
・・・・・
そうして、逃げていくリオンさん眺めて見送って、私はつい笑顔を漏らしました。
とても。とても楽しい日々です。ずっとこうして過ごすことを、長い時の中で夢見ていましたから。
私を好いてほしいとは思いません。ただ、楽しく過ごしていてほしい。そう思います。
あの子が天寿を全うしたら。その時は、その魂を誘いましょう。あの子のお気に入りのクレハちゃんたちも一緒に。今度はきっと、来てくれるはずです。
またどこかで人として生まれてみるのもいいでしょう。魂のまま、一緒に世界を造っていくのも楽しいかもしれません。
ああ。夢が広がりますね。きっと、とても楽しい日々が待っています。
だから、リオンさん。皆さん。
これからも、たくさん遊びましょう?
おや。日本に向けて高圧的な国がありますね……。ダンジョンがずるいとかなんとか。戦争をふっかけるつもりのようです。
仕方ありません。とりあえず、国を消しておきましょう。はい神罰、と。
――人の心など分からない。なぜなら彼女にとって、人など所詮、無数にある命の一つにすぎないのだから。
了
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・あとがき・・・
壁|w・)これにてこのお話は完結です。
ここまでお読みいただき、ありがとうございます。
もっと家族との絡みとかダンジョンに潜り始めた人たちとかの絡みを書きたかったのですが……。
予想以上にリオンが動いてくれませんでした……。
なので、そのあたりは皆様がご自由にご想像ください。
ちょっと配信系に飽きてきたけれど、でもちょっとダンジョンも書きたい。
というわけで、次は最強魔女ちゃんが人助けしまくるお話を書きたいなあ、と思いつつ。
またいずれ、どこかでお会いしましょう、ということで。
ではでは……。ありがとうございました!
ちっちゃいTS魔女ちゃんによる異世界ダンジョン探索配信 龍翠 @ryuusui52
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます