第58話 また何かしちゃいました?
『整い』の最後の条件をクリアするために、俺とフェリとロマリアは風呂場から直通のテラスに出る。
これで5分以上、リラックスしていればバフの効果を受けることができる。
いわゆる、外気浴という奴だ。
レイナさんの
ちなみに、ログハウスの効果で浴場は、内側からは外が見えるけど、外からは中が見えないようになっているので安心だ。
ルーナがすっぽんぽんで外に飛び出してこない限りは……。
テラスには寝っ転がれる椅子であるビーチチェアが5つ用意されている。
そのうちの一つに仰向きで寝転がると、フェリは目を細めた。
「身体がポカポカして気持ち良い……」
「水風呂に入ったからだね。内側から身体を温めようとしてくれてるんだ」
「わ、私なんかが……こんなに偉そうに椅子に寝転がってしまっても良いのでしょうか?」
「ぜひ、寝転がってよ。そのまま空を見上げると、凄く気持ちが良いよ」
3人でビーチチェアに寝転がり、空を見上げる。
ルーナには悪いけど、静かで心地よい時間だ。
俺は、隣でまだ少し居心地悪そうにしているロマリアに話しかける。
「サウナは、ロマリアが入っても大丈夫か心配してたんだけど……」
「あっ、奴隷として拷問を受けていたからってことですよね?」
「うん、その時のことを思い出しちゃうんじゃないかって」
「エノア様は本当にお優しいですね……」
フェリも俺たちの会話に加わる。
「でもロマリア……全然大丈夫そうだった……」
「はい、私は痛みつける為の奴隷でしたから。熱湯をかけられたり葉巻を押し付けられたりとかは日常茶飯事でしたし」
「酷い……アラン、絶対に許さない……!」
フェリにはもう一つ、復讐の目的ができてしまったみたいだ。
しかし、ロマリアは大きく息を吐くと穏やかな声で語る。
「でも、今となっては奴隷になって良かったとさえ思うんです。こうしてエノア様とお会いすることができました。エノア様は私の為に怒ってくれて、戦ってくれて、私が無くしたものを取り戻してくれました」
「ロマリア……」
「ですから、もう私は十分に幸せなんです。皆さんが私の為に怒ってくださるのはとても嬉しいです。でも、その為に無理はしないでください」
「……だってさ、ルーナ」
俺が言うと、既に服を着ているルーナが上から顔をのぞかせてきた。
「なんだー、すぐそばに居るのバレてたの~? みんな、空を見てたのに!」
「荒い息遣いがずっと聞こえてたよ」
「そりゃー、そんなに無防備な格好されてたら……ねぇ? でも、ロマリアの気持ちはよく分かったよ! アランをぶちのめしたいのは、私がそうしたいから! ロマリアは何も気負わなくて良いよ!」
ルーナらしい回答をしながら、ルーナはロマリアの頭を撫でる。
「ところで、ロマリアはどうして山に捨てられちゃったのかな?」
「それは……恐らく、私が拷問を受けても叫び声をあげなくなったからです」
「毎日拷問されて、もう声も上げられないくらいに弱ってたんだね……酷い……」
フェリが悲し気な表情をすると、ロマリアは恥ずかしそうにボソボソと呟く。
「いえ……その……慣れてしまって……」
「――え? ロマリア、今何て言ったの?」
誰も聞き取れないくらいの小さな声だったので、俺が聞き返すとロマリアは慌てて立ち上がった。
「な、何でもありません! エノア様は2回目のサウナに挑戦するんですよね! 私もお供します!」
「ありがとう、ロマリア。でも、すっごく暑いと思うから無理せず、すぐに出ようね」
「はい!」
フェリとルーナは浴場を出ていき、俺とロマリアだけで2回目のサウナに入った。
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<(_ _)>ペコッ
異世界グルメで成り上がり無双~山に追放されたので、のんびりキャンプを楽しんでいたらいつの間にか強くなっていて、王侯貴族や実力者たちが俺を放っておいてくれません。一方、俺を追放した貴族達は破滅が始まる~ 夜桜ユノ【書籍・コミック発売中!】 @yozakurayuno
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