第2話
ちょうど年明けぐらいから、学校に行かなくなって...
気がつけば、初夏
だんだん、外に出るたび暑さを感じる季節
それでも、俺にとっては何も変わらない時間が流れていく
ある日の夕方...
いつもだったら、20時頃までのバイトだが
たまたま少し早く終わり...17時
荷物をまとめながら、外を見ると
そこには、ちょうど学校帰りの高校生が歩いている
「あ、あの制服....」
何やら見覚えのある服を着ている高校生がいて、目で追っていると...俺が通っていた高校の制服であることに気がつく
それだけだったら...良かったのだろうが
俺が見ていたのは、女の子だったが
通りかかった..たぶん面識のない人に手を掴まれている
うぇぇ...まじか
あれ、ナンパだよな...?
遠くから見た感じ、話しかけている男は20代ぐらい... 大学生か?
まぁ、だからといって俺が助ける必要はどこにもない訳だが...
薄情者!!と思う人もいるかもしれんが、ここがどこかお忘れだろうか...
そう、商店街
つまり、人がいっぱい通る───────
あれ...?
「なんで...なんで、こういう時に限って人通りが少ない!!」
「そうだ!! 先輩に───────」
と、振り返るが...そうだ
今日、店長しかいないんだった...
店長は、60代 さすがに、無理させる訳にはいかない...
「はぁ...仕方ないか」
どうせ学校には行かないんだから...
と覚悟を決め、荷物を置いて店を飛び出す
──────────────
外に出て、少しづつ会話が聞こえてくる
「ねぇねぇ、遊ぼうよー! まだまだ、今日はこれからなんだからさ!!」
「...やめ───」
ああ...アウトですね、完全に
深呼吸し、ナンパしている奴に近づいていく
そして、もう手を伸ばせば...という距離まで近づいて...
男の腕を思いっきり掴むと...!!
「あ...? なんだよ、お前! 邪魔すんのか!!??」
と、なんとも典型的なキレ方で、俺の方を向いてくる
「...嫌がってますよ、その子」
こんな時に限って、上手く声が出ずボソッとした声になる...でも、どうやら相手には聞こえていたみたいで...
「あ? こんなにイケメンな僕と話せて! 嫌なわけが無い!!」
.....ちょっと待ってくれよ
さすがにそれは嘘でしょ...ねぇ、嘘だよね?
と、相手の目を見る...完全にキマってやがる...
これ、このまま相手してたらキリがない...
仕方ないか
「ごめんっ!!」
と言いながら、女の子の手を引きその場から逃げることに
よく考えたら...俺もナンパ野郎とやってること変わらんな 不可抗力だな、うん...きっとそうに違いない
───────
商店街から少し離れた公園まで、なんとか逃げてくる
どうやら、追ってきてはなかったらしい
「あ、そうだ..ごめんね、いきなり...」
ひとまず、女の子に謝罪をする
丸く収まってくれると...いいんだけど....
もう一度夜が明けるまで 狐 @kana93738483939822
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