もう一度夜が明けるまで
狐
第1話
「ごめんね...もう、あなたとは一緒にいられないの」
「ごめん、俺たちのせいで....」
もう5年近く前の記憶...なぜ、こんなことを今更思い出したのか
──────────────
現在...
朝
「はぁ...」
眠い目を擦りながら、俺...東雲湊は目を覚ました
「準備してさっさとバイト行かないと...」
俺は、今高校二年生
なのだが、学校にはほとんど行けていない
去年までは行けていたのだが...
絶賛一人暮らしをしている俺は、一日中アルバイトをしている
家には、俺の他には誰もいないし、学校にも...俺の居場所は無い
朝食、着替え等々朝の支度を終え、バイト先の書店へと向かったのだった...
──────────────
書店───────
俺が働いているのは、商店街の一角にある
小さな書店
働いているのは、俺以外に先輩3人と店長だ
まぁ、小さいとは言ったけど、決して客が少ないわけじゃない
仕事とか、学校帰りの人が結構多い印象
てな感じで、午前中は暇なんだよなー
と、レジの目の前で椅子に座りながら、ぼーっと考えていると...
「ちょっと、なにぼーっとしてるの?」
と、いきなり後ろから声をかけられ...
「うわっ!?」
驚いた俺は、思わず椅子ごとひっくり返りそうになる
なんとか椅子に座り直し、声の主を確かめようと振り返る
「なんだ、翠先輩だったんですか...」
「なんだ...とは何よ!」
振り返った先にいたのは、先輩の1人の澄田翠さん
大学2年生で、授業がない時はだいたいここにいる
たまに、大学の話を聞いたりするが、自慢話ばかり...本人が言うには、モテモテ...らしい
確かに、顔は整っているし、性格もたぶんいいんだと思う
バイトメンバーには、さっきみたいな感じで当たり強いけど...
「で...どうかしたんですか? いきなり声かけてきて」
「いや...君が暇そうにしてるから、手伝ってもらおうかと思って...」
と、新しく入荷した商品を持ってくる
...これは、逃げれなさそうだな
「わかりましたよ、手伝います」
「それでよし!」
.....
本を作者とか出版社別に分けて、棚にしまっていく
そこで、高校生らしき人物が表紙に写った本がたまたま目に入る
その本の帯には、何やら青春がーーと書かれている 今の俺から、1番遠いものだな...
こういうものとか、青春を楽しんでいる高校生を見ると、心が苦しくなることがある
そういう時には、自分が今の生活に満足してないのか...とかって考えることもある
でも、今の生活...俺は、満足してるはずなんだ...
どこにも、嫌なことなんてない
ここで、働いている時だけは、俺に居場所があるから───────
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