第19話
俺たち5人は解散した後、ギルドの訓練所に来ていた。その目的はザブリー達の力を見せてもらう為だ。
「ザブリー達にはこれから俺が召喚した敵と戦って欲しい…皆んなの力を把握したいんだ。ミゲルは戦場では伝達役として動いてもらうから、戦うのではなく5分間逃げ回って欲しい。アリスは回復術師だから、これからの試合で負傷した者を戦闘後に直して欲しい。」
実質戦うのは剣士の2人だけ。
「オッケ〜任せてよ〜」
「分かりました。」
「は〜い♡」
「僕は逃げるだけなの…」
上から、ザブリー、アンジェリカ、アリス、ミゲルだ。
「ミゲル。君はこのチームの命綱と言っても過言ではないよ。俺たちの状況をいち早く伝えれるのは君だけなんだ。だから君は"逃げる"事に集中して欲しい。」
俺はミゲルと目線を合わせて語りかけた。そんな俺の思いが伝わったのか彼も真剣な表情で、頷いてくれた。それを見た後、剣士の2人とアリスに準備するように声をかける。
ザブリーは大きな片手剣でアンジェリカはレイピアと短剣の二刀流。アリスは可愛らしい木の杖だ。
「よーい出来たぜ!なんでも来い!」
「いざ参らん!」
「いっきますよー!」
準備が出来たようだ。俺は"スキル・悪魔召喚、使役"を発動させ、
悪魔公爵
悪魔侯爵
悪魔伯爵
悪魔子爵
悪魔男爵
小さい悪魔
の順だ…この情報はグリフォンを退治した報告をした際に伝えられた…俺はいつの間にか悪魔公爵…上から2番目を倒していたのか…自分でも命知らずだと思った。
下級悪魔1匹でA級冒険者2人だそうなんで、今回は最下位の小さい悪魔を1匹召喚した。見た目は小さいゴブリンだ。この程度ならスタンピートの魔物と同等だろうと3人をみやると
「「「……」」」
…めちゃくちゃ静かなんだが???1匹の小さい悪魔をみて硬直している。俺は沈黙に耐えられず
「み、みんな…?」
恐る恐る声を掛けた。次の瞬間
「いやいやいやいやいや!何で悪魔!?スタンピートよりもやばいわ!」
「こ、これが悪魔…」
「エッッッッ!」
「無理無理無理!」
これから戦うチームが俺に詰め寄ってきた。
「お、落ち着いて…」
「「「落ち着けるか!!!」」」
綺麗に4人でハモってきた。ザブリーが
「小さい悪魔が対戦相手とか嫌だわ!強いだろ!スタンピートでの力量測る為に呼び出すモノではないわ!!!」
「そ、そうなのか???」
「どんだけ世間知らずなんだよ!」
俺とザブリーの掛け合いはコントみたいだろう。
暫く沈黙が落ちた後ザブリーが深い溜め息をついた。
「はぁぁぁ…まぁやるしかないか!」
彼が小さい悪魔に対して構えの格好を取ると、それに続くように他の皆んなも戦闘体制にはいる。
俺は小さい悪魔たちに、大怪我をさせない程度で宜しくと頼み戦闘が始まった。
まずザブリーが先陣をきる。悪魔の目を狙うように突き出す。だが悪魔は難なく避けて彼の顔面を平手で叩く…ビンタだな。
「いってぇぇ!てかビンタ?!舐められすぎでしょ!」
ザブリーがそう言いながら後退し、アリスに治療してもらっている間、アンジェリカが前に出る。凄く速いスピードであっという間に悪魔と距離を詰め、悪魔の腕を斬る。敵を翻弄させるような動きをし、確実に追い詰めている。
…スピード型か…凄く良い動きだ。
ミゲルに悪魔が襲い掛かるが手榴弾やポーションで攻撃を躱し難なく逃げている。
…此方も良い動き。
回復が終わったザブリーが自身のスキルを発動させる。
「スキル 身体強化MAX」
全てのステータスを限界まであげて悪魔に飛びかかる。悪魔の心臓に剣を突き刺し試合は終了した。
「お疲れ様!」
俺が声をかけると皆んな座り込んだ。
「今までで1番疲れた…」
ザブリーがそう呟く。みんな頷いていた…そう言っているが、擦り傷以外怪我していない。
アリスが皆んなの怪我を治している。
…回復速度はすごく速いし、繊細だ。彼女も凄い。
…この動きなら問題ないな。これならスタンピートに立ち向かえるだろう。
この後俺は連携を深める為の訓練と称してコブラを召喚したりして、みんなに怒られるのであった。
ーーーコブラも強すぎだわ!!!byザブリー
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