第6話
ダンジョンが音を立てながら崩壊を始めたので外に出る。
(SS級に匹敵する力をもった悪魔を倒せたんだ…)
まだ実感が沸かない。
ーーー俺は強くなったんだ。もう弱かったレッサーサーペントでは無い。無力じゃ無い…好きなように生きる事が出来るんだ!
俺は胸が熱くなり鼓動が高まった。
長時間薄暗い空間にいた為か木々から漏れる陽の光が眩しく感じた。
(眩しいな…)
俺は文字通り全身で自然を感じる。風が優しく俺の身体を包む。
ーーーあぁ気持ちいいなぁ最高の気分だ…ほぼ全裸だが…
股間の間にあるブツが風に揺らされながら考える。
この状態はまずい。もし森に誰か来たら露出狂と間違いられる…!そう思った瞬間後ろの茂みが揺れ1人の人間の女の子が現れた。
クラゲカットの緑色の髪に涼やかな目元。瞳の色は鮮やかな黄緑色だ。…因みに胸は超小胸だった。悲しい程に女性らしさが無い胸元だ。
「……」
「……」
2人とも身動き1つせず見つめ合う。
俺は意を決して声をかけようと一歩踏み出したが…その衝撃で無いよりはマシだった紐パンの紐が切れ股関を晒してしまった。
「……あっ」
俺は今正真正銘の全裸…産まれて間も無い姿になっている。
「ギャァァァァァァァァァァァァァァァァッ!」
女の子の絶叫が森の木々を揺らす。…五月蝿いなッッッ!
「全裸になって快感を覚える変態がいる!!!露出狂だ!騎士団に突き出さないと!」
やばい!マジでやばい!このままだと騎士団に突き出される!
「ごっ誤解だ!これはッッ!」
誤解を解こうと近付いたのが
「ろ、露出狂が近づいていた!こ、来ないでぇぇぇ!汚いのそのブツを切り落とすぞ!」
この世で1番恐ろしい事を口走りやがった…
「いやッ!これは!」
俺は事情を話した。ダンジョンで戦闘を繰り広げた末にこのような姿になったのだと全身を使い説明する。
ーーー暫くして時が経ち
「そうなんだ…へぇ…」
俺の事をまるでナメクジを見るかのような目でみてくる…そんな顔をしなくても…流石に俺は傷ついた。
「取り敢えずこれでも着て無いよりはマシ…だから…早くその汚物をしまって。」
彼女から服を受け取ったのだが…
「ふ、フリフリのワンピース…」
淡い水色で胸元が大きく開いておりリボンがたくさん縫い付けられている。至る所にフリフリのレースが飾られているエンパイアワンピースだ
「こ、これを俺が着るのか…」
「じゃなきゃ誰が着るのよ!私には大分サイズが大きくて着れなかったの。早く着て。露出狂じゃなかったら嫌でも汚物を隠すために着るでしょう?」
「うっ…わ、わかった有難う…」
俺は仕方なくフリフリのワンピースに腕を通した。
俺の体が小柄なのかワンピースは少しキツく丈も短いが何とか切れた。
(今度は女装か…)
俺の中の何かが崩れ落ちた。プライドはズタズタだ。
「へぇ…アンタ元の顔が女顔だか似合っているわよ。これなら平気ね」
似合っているのか…だがパンツは履いていないためまだ股間はスースーしていた。風が吹いたらポロリだろう。
「で?アンタここで何していたのよ?今この森は立ち入り禁止だけど?」
(そうだったのか!今この森は閉鎖されていたのか…じゃあ…)
「何で君は此処に居るんだ?」
その問いは口に出ていたようで彼女が答えた
「グリフォンが出たって言うから私はこの森の調査を依頼されて来たのよ。コレでもS級冒険者だからね!」
彼女は誇らしそうにそう言い放った。
S級冒険者は上から2番目のランクで限られた人しか成れない。
「凄いな君は!あのS級冒険者だなんて!」
心の底からそう思う。
「で?アンタはここで何していた訳?」
「その前に自己紹介をし合わないか?アンタだとか君だとかだと分かりにくい。俺は
「アンタ…星辰みたいな不審者とは知り合いになりたく無いのだけど…仕方ないわね。私はピィナ宜しく。」
若干傷つく言葉が言われたが気にしないことにした。
「ピィナ…これから言う事は真実だからね?驚かないで聞いて」
俺は今まで身に起きた事を話した。
俺はグリフォンへ生贄として捨てられたこと。
そのグリフォンを倒し森の中を彷徨っていたこと。
森の中を探索していたら偶然ダンジョンに迷い込み悪魔公爵と戦ったこと。
何で全裸でいたかも話しておいた。
「信じられない…アンタ1人でグリフォンも悪魔も倒しったって…」
ピィナは信じられないような顔をしていた。
だから証拠としてグリフォンと悪魔公爵の魔石をアイテムボックスから取り出し彼女に見せた。
「この魔石が証拠だ。」
「……本当見たいね…この魔石…其々含んでいる魔力がS級とSS級ね…。アンタ唯の露出狂じゃ無かったのね…」
「………」
俺は思わずジト目をしてしまう。だってまだ露出狂だと思われていたからだ。
「取り敢えず私と一緒に来て。アンタがグリフォンと悪魔公爵を倒したってギルドに報告しないといけないの。」
ーーー!森から出られる絶好のチャンスだ!
「分かった!ピィナ、君と一緒に町に行くよ!」
俺は食い気味にそう答えた。
「有難う。じゃあ森を抜ましょうか」
そうピィナが言い俺たちは町へと足を運ぶのであった
ーーーそこであのゴミカスボケのコージーと再開するとはこの時の俺には想像できていなかった。
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