第51話  光の神殿を見つけた!!

 実を噛んだ時に感じた苦さで、一瞬顔をしかめ、目を瞑った。

 次の瞬間に、身体が何処かへ飛ばされた感覚があった。


 アンナレッタとアーロンは、深い霞の中に出た。

 お互いの顔がやっと、認識できる程度の所だった。


「何だ!? ここが天上界か? 創世神の夢の中なのか!?」


「この霞の深さは、熟睡している、という事ですかね~?」


 アンナレッタには直感が働いた。


「リカルド、ここを三十度上向きに、霞を吹き飛ばせてくれ」


 アンナレッタは、前方の一か所を指差して言った。


 <何かあるのか!?>


「私と同じ、一族の力を感じる」


 <へっ!?>


「リカルド、早く!!」


 <時々、お前の方が、精霊じゃないかと思うぜ……>


 アンナレッタに、睨まれてリカルドは仕方なく、こんなわけも分からない所で力を使うことになった。


<前方、三十度、上だな?これでどうだぁ~~>


 風が吹いて、周りの霞が吹き飛んだ。


<あれ!?>


「風の騎士の力が、強いんですよ」


 と、アーロン。


「そうだな、力を加減することを覚えても良い頃だぞ」


<お前の引き出す力が、強いからだろうが!!>


「うるさい、とにかく、あっちに向かって、飛ぶんだ」


 リカルドは、アンナレッタの指示した方向に向かって飛んだ。


 遠くの方で何かが光っている。

 でもなかなか、近付かない。

 それどころか、光が遠くなってるような気さえしてきた。


<アンナ、変じゃないのか!? この空間>


「向こうが、逃げるのなら、捕まえるだけだ」


 リカルドは嫌な予感がした。


「リカルド、風の縄をあの光に向けて飛ばせ」


<また、無茶な事を……>


「無茶でもやれ!!」


<へいへい>


 アンナレッタの手から、風の力で織られた縄が出現し、彼女は思い切りそれを遠くに見える、光に向かって投げた。


 縄を持って飛んで行くのは、勿論リカルドだった。

 自身が風位速く飛んで、光の物体に到達した。


 予想した通り、ある一定の近さまで来ると、移動していた。

 今回は、移動する前に光の物体に近付くことが出来たのだ。


 正に移動される直前に、リカルドは光の物体に追いつき、そして、縄から網に変えて動かないように、がんじがらめにした。


 そしてリカルドは、目を丸くする。


 消失した光の神殿が、そこにあった。

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