第七章 天上界へ 

第50話  天界へ

(この世界にきて、もう五年か……俺の身体は、未来で死んだのか?)


 夢から、覚めるとリカルドは大きな欠伸をした。

 世界樹にもたれて、うたた寝をしていたらしい。


「これから、天上界に行こうって時に、昼寝とか? 本当に、人間臭い奴だな」


 アンナレッタが笑って、言ってきた。


「俺は、元人間だつーの!!」


 リカルドは、フンと怒って見せた。


「なんか良く寝てたみたいだけど、夢でも見てたのか?」


 アンナレッタが問う。

 あれ!? と思う。

 確かに、長い夢を見ていた気がするのだが、思い出せなかった。

 リカルドが頭を搔いていると、アンナレッタは言った。


「精霊でも、夢を見るのかな?」


「忘れちゃっただけかも知れねーだけだろ!!」


「そろそろ、私の左肩へ戻れ。お前には精霊として、天上界に行って欲しい」


「アンナ……」


 そう言って、世界樹にアンナレッタに壁ドンをしたリカルド。

 思い切り、アンナレッタを見つめて、精霊の時には出来ない口づけをかわそうとした時に、言われてしまった。


「私に惚れるなよ、リカルド。私は人間でお前は精霊だ。生きている世界が違うんだ」


 リカルドは、心の中を覗かれたようで、恥ずかしくなって、身体から力が抜けていくのを感じた。

 そして、いつもの定位置にいた。


「頭上!?」

「火の王は、この玉になっていくとの事だ」


 アンナレッタが赤い拳大の玉を見せた。


「じゃあ、そろそろ行くぞ」


 <おっしゃー!!>


「待ってくださいよ~~」


 湖のところで、水の路の事をルースティリアに説明してもらっていた、アーロンが駆けて来た。


「お前も行く気か!?」


「当り前じゃないですか!!アンナ様を一人でなんて行かさせられませんよ!!」


「行っても、収穫があるか分からんぞ!?」


「それでも、僕は光の神殿でただ一人残った神官です。お供させてください」


 アーロンの真剣な顔に、アンナレッタも心が動いた。


「分かった、一緒に行こう。実を半ずつ食べよう。何処に出るかは自己責任らしいぞ」


「承知です」


 アンナレッタとアーロンの食べた熟れた、ポカロの実は、酸味があって苦かった。

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