第46話  幻夢界は何処にある?

「幻夢界は何処にあるんだ!?」


 アンナレッタは、真顔でアーロンに聞いた。

 この旅に出てから、知らない言葉や種族にぶち当たる。

 アンナレッタは大きな溜息をついた。


「幻夢界? この世界とあの世の境にあると言われている世界ですね。

 世界で一番大きな世界樹が立っていて、そこには時間が存在しません。

 そこを管理している、人間の婆がいると言われています」


「さすがに、歩く辞書だな。アーロン君」


 アンナレッタは、嫌味半分にアーロンに言った。

 アーロンは、言葉通りに受け取って、照れていた。


「どうやって行くんだ?」


「さぁ?」


 アーロンは首を傾げた。


「役に立たん奴だな!!」


 途端にアーロンは、 からくり箱の中をひっくり返して、幻夢界に関しての書物を探し始めた。

 からくり箱の中からは、十数冊の書物が出て来た。

 その中で、水の魔法書に関する本をアンナレッタに渡した。


「水の魔法書!?」


「幻夢界は様々な処から行けるようですけど、知らぬうちに迷い込む人もいるそうです。世界樹の生えてるところには、大きくない湖の真ん中にある小島だそうです。水のみちの魔法で行けませんか?」


「水のみちかぁ、高度の水の魔法だな」


 アンナレッタは、水の魔法書を開いた。


「水の路は、向こうで引っ張ってくれる人が必要だな」


「そうですか……」


 アンナレッタは、アーロンに説明した。


<取り合えず、水鏡で幻夢界の婆を呼び出したらどうだ?>


 火の王が助言してくれた。


「火の王は、水とは真逆の属性ではないのか?」


<これでも、この若造と違って、世界の創造の時より生きておる。

 この地にも雨は降る。水に弱い我ではない>


<若僧ってなんだよ!!>


 リカルドは、アンナレッタの左の肩で、大声で喚いていた。

 火の王は、睨んでリカルドを黙らせた。

 格が違うのだろう。


「出来るかどうかわからんが、幻夢界を古代語でなんと言うか、この本に載っていた。この言葉を用いて、何処かで水を呼んでみよう」


「そうですね」


 アーロンは、同意した。







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