第45話  マラ山の地竜

『そなたか!? この山に雨を降らせたり、雷を呼んだりしてるのは!!』


アンナレッタとアーロンは、マラ山の火の王に導かれて、地竜の巣まで訪れることが出来た。


その姿に、アーロンは卒倒しかけ、さすがのアンナレッタも風竜との姿の違いに呆然とした。

この世界の地竜の容貌は、大蛇の巨大形であった。

地竜はそれを察知したらしく、忌々しいそうに言ってきた。


『我が、眠りを邪魔するのは誰ぞ!?』


途端にアンナレッタは、我に返った。


「蛇でもないのに冬眠をするのか? 私はアンナレッタ・エル・ロイルだ。聞きたいことがあってここまで来た。眠りを邪魔したことは謝ろう。すまなかった、この通りだ」


アンナレッタはペコリと頭を下げた。


『ロイル家の姫が何の用だ?』


「お前が最古の竜なのは本当か?」


アンナレッタが問う。


『如何にも。我が竜族の最長老だ』


地竜が答えた。


「そうか、ではパキュア創世神には、どうやったら会えるかな?」


地竜は思い切り、笑った。

身体をくねらせ、老体とは思えぬほど元気にワハハと洞窟の巣内に笑い声は響いた。


『人間の分際で創世神に会うだと!? 天界の神に!?』


「おかしいか?でも、空の上に天上界などなかったぞ!!」


『当たり前だ。天上界は、創世神の夢の中にあるのだ』


「夢の中!?どうやって行くんだよ!!」


人間なぞの行ける所ではない。何の用だ?』


「父上や、光の神殿を返してもらわないと困るだろ!!」


アンナレッタが叫ぶと、また地竜は笑った。


『そうか、光の神殿が天上界に取り込まれたと思っているのか!?』


「もう手掛かりが無いんだ。頼む、知っていることを教えてくれ」


アンナレッタの必死の頼みに、地竜は答えた。


『確かに、我が仰ぐ方の存在も感じられぬ。あながち、天上界に取り込まれたとは、良い思い付きだ。……天上界には、幻夢界に生えているポカロという実を食べるのだ。以上だ。では、ここから出て行け。早くな』


地竜は蜷局とぐろを巻き直して、いびきをかき始めた。


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