第41話 風流のラウラドール
『私が、風竜のまとめ役をしているラウラドールだ』
アンナレッタは、風の貴婦人に案内されて風竜の巣に入ること出来た。
そこで待っていたのは、淡い金髪ととび色の瞳をした美しい人型の竜で、アンナレッタは面食らってしまった。
「えと!?」
『この姿か!?私は長い期間、人間の世界にいたこともあってな。この方がお前には話やすいだろうと思ったのだが? いらぬ、お節介だったか?』
アンナレッタは、クスリと笑った。
何とも、人間臭い風竜だ。
人間界に長くいたというのも、本当のことなのだろう。
「いや、会えてうれしく思うぞ。私はアンナレッタ・エル・ロイルだ。
風竜殿達の間では、今の状態をどう見てるんだ? 光の神殿が神と共に消失して、もう半年だ」
『神と仰ぐ方の直系か!? 確かに、あれは突然のことだったな。イリアス殿は我らも仰ぐ方でいらっしゃる。人間界にいようと、神殿にいようと、我らは常にあの方の存在を感じていたのだ』
「さすがに竜族だな。それで、今はどう感じてるんだ!?」
『なにも……本当に忽然と気配が消えた、という感じだ』
少々老けて見えたが、この風竜が若い時には、恐ろしく美しかったのが覗える。
アンナレッタは、アドリアンの言ったことを思い出した。
「ねぇ、天上界は天にあるのか!?」
ラウラドールは、目をパチクリとさせた。
「創世神のいる所の事だ」
『人間が、創世神の事まで知っているとはな』
「知り合いから聞いたんだ。この世に何の手掛かりがない以上、創世神にで聞く方法しか無さそうなんだ」
アンナレッタは大真面目に言ったが、ラウラドールには大笑いされた。
『面白い人間だな、お前。流石にあの方の直系の者だ。だが我ら竜族には、天界のことは知らされてないんだ。まぁ、我ら風竜は個体数が多い分、寿命も他の竜に比べて短いからな。地竜なら、我らの三倍は生きるから、何か知っているかもないが』
「地竜? 何処にいるんだ!?」
『一番年寄りなのは、マラ山のマラドーラだろうな。大陸の最南端のマラ山に棲んでるよ』
「マラ山の地竜のマラドーラ……」
『これ以上は、お前の質問に答えることは出来ない。ロイルの姫よ』
「十分だ。有難うラウラドール殿」
『いや、昔、私にも、お前のような魔法使いの友人がいた……
少し、お前に似ているのだ。久方ぶりにメアリの事を思い出した』
ラウラドールは独り言のように言って、クスクスと笑っていた。
『では、ロイルの姫、仲間のもとへ帰れ』
ラウラドールがアンナレッタに手をかざすと、アンナレッタは目眩がして立っていられなくなった。
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