第36話  天上界へ行けるのか?  

「突風でわたしを転がして、川に飛ぶ込んだところを今度は一気に上昇だ!! 分かったな!?リカルド。」


<それって、お前の遠縁のおじさんの話だろ!?そんなことをして何がしたいワケ!?>


 アンナレッタは真面目に答えた。


「ちょっと、天上界に行こうと思って」


 リカルドは、吹き出しそうになった。


<ちょっと、じゃねぇぞ。そんな所に人間が行ける場所じゃねぇぞ!!大体、なんだってそんな所に行きたいのさ?>


 アンナレッタはリカルドの言った、人間と言う言葉に反応した。


「私は、エル・ロイル家の一人娘だぞ!!普通の人間と一緒にするな!!」


<そりゃ……お前は、エル・ロイル家の娘だろうが……天界なんて、神の領域だろ?>


「だから、行くんだよ。万物の神、創世神なら何か知ってそうだろ? それにアドリアンおじ上に行けて、私に行けないはずはない!!」


<誰が天界まで、お前を飛ばすんだよ>


 嫌な予感がしながら、リカルドは言った。

 確か、風の奥方がこの件には絡んでいたはずだ。

 アンナレッタはニッコリ笑って、リカルドの思った通りの答えを言った。


「リカルドに決まってる」


<待て! 待て!! オッサンには風の奥方の力も働いてるだろ?>


「そうだな?それがどうかしたか!?」


<するぜ!!風の奥方は、精霊族として、肉体を持っていた頃からの古参の精霊だろ!?精霊になって五年の俺と一緒にするな!!>


 リカルドは、半ば泣きたい気分であった。アンナレッタの無茶ぶりにも限度がある。


 <絶対にムリだ!!>


「お前なら、大丈夫だ」


 何故か、アンナレッタは自信たっぷりで言った。

 リカルドは、アンナレッタの頭上で考え込んでしまった。


《こいつの自信は、何処から来るんだよ?こいつが神の系譜だからか!?》


 リカルドはやるだけやってみようと、決心してアンナレッタに親指を立てて、合図を送った。

 アンナレッタは、微笑んで頷いた。


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