第33話  パキュア創世神

「それより、アンナ。俺が何故一族に名を連ねているか分かるか!?」


 アドリアンは、ニヤリと笑ってアンナレッタに言ってきた。

 魔法書を読み漁っていた、アンナレッタは面倒くさそうに言った。


「おじ上。一応、一族の者だろ!?当たり前のことを言うなよ!!」


 アドリアンは、ニヤッと笑って、


「俺には、五歳まで魔力は無かったんだ」


「えっ!?」


 アンナレッタの反応に、アドリアンは満足そうであった。

 たしかに、ロイル家に生まれても、魔法の力を持たない者もいる。

 近しい所では、アンナレッタの叔母のルースティリアが、エル・ロイル家の直系の者でありながら、何の力も持っていない。

 それでも、銀の髪と銀の瞳を持っていたので、銀の姫の名を神殿から送られている。

 本来は、銀髪、銀の瞳を持つ、魔法を使えるエル・ロイル家の姫に与えられる名前だった。

 だが、ルースティリアはアンナレッタの祖父母の強い要望で、神殿から名を貰ったらしい。


 こんな事もあるように、ロイル家に生まれたからと言って、皆が皆、魔法の力を持っている訳ではない。

 しかし、アドリアンは強者だ。一族きっての使い手だった。

 風の奥方と、契約していたくらいだ。

 今は、契約精霊を探して、旅をしていた。

 今回の件で、銀の森に帰って来ていたのだ。


「パキュア創世神を知っているか!?」


「天界にいるっていう、万物の神だな?混沌の世界に闇の神を作ったんだろう?なんで、光の神を作らなかったんだろうな?」


 アンナレッタは疑問を口にした。


「闇といっても、夜の静寂の神だ。光が強すぎても、世の中のバランスが悪いと思ったんだろう。神ではなく、光の精霊族を多く創られたんだよ。

 だが、闇の蛮族が付け上がって、光の民を度々襲うようになってきた。

 そうして、精霊族の力を集めて創られたのが、イリアス・エル・ロイル。俺たちのご先祖だ」


「それと、創世神とどう関係があるんだ!?」


 アドリアンは語り始めた。


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